ご祝儀 10 〜わたし以外のオンナは死んで〜 【10話完結】
トイレを済ませ、鏡の前に立ち化粧ポーチを出した。華やかだが悪目立ちしないようにと美容師に注文しまとめてもらった髪は全く崩れていない。鼻とその周りに油が浮いている。ティッシュで優しく押さえた。振り袖に負けないよう多少濃いめの方が映えますよ、と美容師に勧められたことを思い出し、汗でにじんだアイラインを強めに引き直した。口紅は普段つけない深紅のものだ。派手な気がして落ち着かないが、姿見で全身を映してみるとなじんでいた。はたちの時のような弾ける若さはないが、その分色香と呼ばれるもの