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【エッセイ】双極性障害、一人暮らし。①

一人暮らしを決断する。



一人暮らしを始めたのは、動くと少し汗ばむ季節。
記憶には無いけれど、紫陽花の見頃が終わる頃だったと思う。
というのも、私は紫陽花が大好きなのだが、当時のデータフォルダを遡ると紫陽花の写真は1枚もなく、間取りや家具のスクショなんかでいっぱいだったから分からないのだ。
思えば忙しかったのかもしれないが、思い出されるのは楽しい感情ばかりで、当時の写真を見ているだけで幸せな気持ちになれる。
この写真は大事に残しておきたい、そんなふうに思う。

* * *

私が一人暮らしを始めた理由は、親子関係が悪かったから。その1つに限る。
当時、アルバイトをしながら就労定着支援に通っていた私は、担当さんに家族関係についても相談をしていた。
当時のことはあまり思い出せなくなってきているのだが、相談内容は、家族間での金銭トラブル、精神的暴力などが主だ。
「お母様、強烈ですね…!」
担当さんからそんなことを言われたのをよく覚えている。
「そうなんです、強烈なんです。」
私は、半笑いでそう返したと思う。

「一人暮らしした方が良さそうですね」
担当さんから一人暮らしを提案されたのは、転職先が決まってからのことだ。
不動産紹介、物件選びの同行など、様々なサポートをしてくれると言う。
今考えれば、次の職場で上手くいくとも限らないのではないか?うつ病を再発させた時1人で過ごすことになるけど大丈夫なのか?そんな心配が浮かぶが、その時の私は深く考えることはなかった。
一人暮らしは中学生からの夢であり、人生の目標でもあったからだ。

私には悩み癖がある。
なかなか行動に移せない優柔不断な部分がある。
だけど、「1度決めたことに対しては、誰にも口出しさせずに即行動するよね」友人にそう言われたことがある。
その通りだ。決めてからは展開が早かった。

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