Baby Showerって?牛のことじゃなかったのね。
高校3年生の夏休みにアメリカでホームステイをした。
酪農家の家だった。
私の英語は泣きたいほど乏しく挨拶の後何も話せない状態。ホストファミリーは苦労しただろうと思う。
それでもなんとか毎日を過ごしていた。
牛の世話もとうもろこしの冷凍保存も少しやらせてもらった。トラクターにも乗せてもらって広いとうもろこし畑を行き来した。
ある日ホストファザーと息子さんがそわそわと2人で何度も話をしていた。
牛がもうすぐ産まれるらしい。なんとなく理解できた。そして2日後くらいに産まれたようだった。少し経って囲いの中で小さな牛を見せてもらった。
それからさらに2日ほど経った頃だったと思う。
「今度Baby Showerがあるから一緒に行きましょう。女性だけが参加できるのよ。」
と、ホストマザーがワクワクキラキラしながら話していた。
…何それ?
私は乏しい語学力と想像力をフルに働かせた。
そうか、酪農家は牛が産まれるとお祝いをするんだなと納得した。
そうなのだ、あろうことか牛とBaby Showerをリンクさせてしまった。
さて当日、車に乗せられてついた先はあるお家。
え?ここどこ?牛は?
入ると大歓迎されてすでに女性が何人も集まっていた。華やかで賑やかな雰囲気。
「さあ始めましょう」
真ん中にはお腹の大きな女性。
牛じゃない…
冷や汗が出た。
同じ家にホームステイしているフィンランドから来た子はレースの編み物をプレゼントしていた!そういえば毎日編んでいた。
私はにこにこするしかなかった。
今思い出すと笑えるが、その時はすぐに日本へ帰りたい気持ちだった。
それでもその集まりはとても素敵だった。
赤ちゃんが無事産まれるよう願う優しい空気がそこにはあった。
妊婦さんのお母さんがプレゼントしたものは、まさにその妊婦さんが産まれた時に使っていたタオルとドレスだった。ずいぶん色褪せていてみんな笑った。
穏やかな柔らかい時間だった。
牛と勘違いしていた人がいたなんて誰も想像つかなかっただろう。
とてもいい経験をしました。ほんとに素敵な集まりでした。
牛はどこ?なんて聞かなくてよかったです。何事も経験、ですね。