透き通った青い瓶 凸凹 ビー玉
店のおばさんは私と姉に話をしながら冷えた水に浸かっているラムネを出してきた。
栓抜きとは違う、丸いポチのついた硬そうなものでラムネの上にあるビー玉を押し込む。
カチャンと音を立てて泡が吹き出る。
布巾で周りをサッと拭いて私たちに手渡してくれる。
母方の田舎での夏の話だ。
家の隣が萬屋だったので毎日のようにラムネを買いに行った。
持ち帰って祖母の家の縁側で飲んだ。
瓶の凸凹に指を当てる。
ここに人差し指かな。
でもそうなると隣の穴が近すぎて持ちにくいなあ、などといろんなところに指を当てて不自然な持ちかたで飲んでみた。
姉と2人で笑った。
一口飲むごとに瓶を目線より少し持ち上げて、透き通った青い色、凸凹、そしてビー玉を見つめた。
あのビー玉を取り出したくて、何度も逆さまにしたり、振ったりしていた。
そもそもあのビー玉をどうやって入れたんだろう。
どこかで解明されていたと思うが覚えてないし、別に知らなくていい。
いつのまにか瓶のラムネを見かけなくなっていたが、20年ほど前の夏祭りで売っているのを見つけた。
プラスチックではなく、ちゃんと青く透き通った瓶だった。
ビー玉もあった。
その日はビールではなく子どもたちと一緒にラムネにした。
透き通った青色の瓶は冷えていて、水滴の汗をかいている。
ビー玉の周りにも小さな泡がついている。
昔と同じように瓶を少し持ち上げて一口飲むたびに透き通った青色と凸凹、そしてビー玉を眺めながら味わった。
夏、真っ盛りの思い出。