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チョボをつまみ落とす

土曜日も半日授業があった時代
世間で言うお受験なるものを突破したせいで、
家から一時間ほど掛けて小学校へ通う羽目になる。

今でも覚えている
合格の通知が来たとき、
母親だけ嬉しそうに跳び上がり
仏壇に通知書を供え、チーンと鳴らした。

帰省する度に出会う
ちいさい後輩たち、
母校の中学や高校も制服が
モデルチェンジしているというのに、
小学校の制服は四十年以上経っても
あの頃のままだ。

当時
田舎では珍しい形の制服に、
夏はサファリ帽、冬はベレー帽までついてくる。
このベレー帽がクセモノだった。
被り方が分からず、まごついているわたしに
名前も知らない上級生が教えてくれた。

ベレーのてっぺんにある
チョボといわれるところをつまみ、
頭の真上へ持ち上げベレーをポトンと落とす。
そして「これが一番いいよ」と、笑う。

鏡で見ると
巨大なう◯こが乗っかってるみたい。
自分を指さし大笑いするが、
う◯こあたまで堂々と歩けるなんて
ついにドリフの仲間入りを果たした!
そんな気持ちになった。

後に
母親から綺麗な被り方を教わるが、
こんな面白いことを止める理由がない。
玄関を出たらこっそりと被り直し、
ニヤけながら学校へ行ったっけ。


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