酒クズ文学

お酒と創作。

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最近の記事

【書評】森博嗣/オメガ城の惨劇

数年振りの森ミステリィ。堪能させていただきました。 当方、比較的良く訓練されたファンなので終盤の違和感からの結末はある程度察しました。 この真摯な立ち振る舞い…恋恋蓮歩の演習で見たぞ…この漢字名の読み方のくだり…赤緑黒白で見たぞ…! かつてS&MシリーズやVシリーズに親しんだ方々にもオススメしたい作品(位置付けは外伝のようなものらしいですが)。

    • 天美

      天美 所在 :山口県 長州酒造 タイプ:特別純米 酒米 :山田錦 少し前の天美ですこちら。 昨年末から杜氏さん含め体制が変わられているとの事でしたが、新しい天美はどんな感じになっているのでしょうねえ。 当方が飲んだ天美は半年ほど前なので、よく知られている天美の味かと。 ほのかな酸味とマスカットっぽさのあるジューシーな感じ。 最初に口に含んだ時の濃醇な旨口とジューシーさを追求した酒は最近流行っておりますが、天美の完成度の高さはかなり上位に食い込むのではないかと思います。

      • 加茂錦

        加茂錦 所在 :新潟県 加茂錦酒造 タイプ:純米吟醸 酒米 :山田錦 名前はきっと聞いたことある銘柄。スーパーで見かける事も多いのではないかと。 ここの酒蔵は「荷札酒」みたいなレアなものもありますが、この純米吟醸みたいなどこでも手に入れやすい、デイリーなお酒として優れている印象です。急に飲みたいときにすぐ買える。とても素晴らしいことだと思います。 どんな食事にもあうであろう穏やかでクリアな味わいの中に、米の旨味が後から追いかけてくるような上等の味わい。1,500円前後で

        • 【書評】川合伸幸「脳のクセ」に気づけば、見かたが変わる 認知バイアス大全

          どうあがいてもバイアス。人間の脳ってやつはこれだから…。 容姿から性別、職業でもってその人物を判断する。 確率50%の20万円より絶対にもらえる100万円を選ぶ。 有名人が使っているものは何となくいいものだ etc… 心当たりがありすぎるこんな考え方。すべては脳の勘違い、情報処理のバグ。 認知バイアス大全は、私たちの日常生活に潜む「脳のクセ」に焦点を当てた一冊です。 この本は、人間関係、組織、消費者行動、偏見と差別、そして思想と社会という5つのカテゴリに分けて、90種類

          カワセミの旅

          カワセミの旅 所在 :新潟県 高橋酒造 タイプ:純米酒 酒米 :不明 日本酒度-27.0の衝撃。 数値だけみると極甘口。されど意外にもスッキリとした甘さ。 チョコレートとのペアリングで注目を集めており、フランスの著名なショコラティエ、ジャン=ポール・エヴァン氏によって「ショコラに最も合う日本酒」と絶賛されたことでも知られています。実際にチョコレートと合わせてみると、お互いの甘みが引き立て合い、素晴らしいマリアージュを楽しむことができます。日本酒でマリアージュという言葉が使

          【書評】野崎まど「タイタン」

          シンギュラリティのさらにその先へ。野崎まどは「いい仕事をした」。 野崎まどの『タイタン』は、未来の世界を舞台にしたSF小説で、AIが人間の仕事をすべて代替した社会において、機能低下に落ちいったAI「コイオス」のカウンセリングを担う主人公と人格形成されたAIの物語。 生成AIが一大ムーブメントとなっている昨今だからこそ読んで欲しい物語。 シンギュラリティ(技術的特異点)のその先に人間の仕事は存在するのか。 そもそも仕事とは何か。仕事と役割は、個人のアイデンティティたらしめる

          【書評】野崎まど「タイタン」

          庵 所在 :岡山県 熊屋酒造 タイプ:純米吟醸 酒米 :備前朝日 岡山県の秘蔵っ子的な酒米「備前朝日」。熊屋酒造の「庵」は、岡山県産の備前朝日米を100%使用した特別純米酒です。 無濾過でありながら、荒々しすぎずにバランスの取れた味わい。 食事の脂っこさをきれいに流してくれそうな軽快な味わいなので、食中酒として味わうのがベストのように思います。当方中部圏の人間なので中々手に入れる機会のないレアなお酒ですが、いつかリピートしたいなぁ…。

          農家の酒

          農家の酒 所在 :北海道 うけがわファーム×高砂酒造 タイプ:純米吟醸 酒米 :彗星 オール旭川でお送りする「農家の酒」。 北海道旭川市で生まれた地酒で、地元の素材にこだわり、市民と共に田植えから稲刈り、そして日本酒の仕込み体験までを行うプロジェクトから生まれました。このプロジェクトは2012年に始まり、「オール旭川産の素材で日本一美味しい日本酒をつくろう」という合言葉のもと、有志が集まり実現したものだそうです。 そうした手間暇かけて作られた酒米「彗星」で醸されたこのお酒

          臥龍梅 三味和醸

          臥龍梅 所在 :静岡県 三和酒造 タイプ:純米吟醸 酒米 :山田錦、五百万石、誉富士 静岡県の三和酒造が製造する「臥龍梅」。静岡県では言わずと知れた有名な銘柄のようです。 三味と名がつくように、山田錦と五百万石、誉富士という3つの酒米のブレンドで作られた日本酒との事。 それぞれの酒米単体で作られた銘柄も臥龍梅のラインナップにはあるようですが、きっといいとこ取りの味わいになっているのではなかろうかと。 落ち着いた香りとしっかりした味わいで、すいすい飲める食中酒。比較的手

          臥龍梅 三味和醸

          城陽

          城陽 所在 :京都府 城陽酒造 タイプ:純米酒 酒米 :祝 京都界隈でしかおそらく手に入らないであろう知る人ぞ知る城陽酒造の日本酒。 山田錦や五百万石といったよく知られる酒米で作られたものもありますが、この特別純米酒は京都産の「祝」という酒米が使われています。 初耳の品種。酒米も掘り下げていけば色々な品種がありそうですね。 城陽酒造の日本酒は、料理を引き立てる食中酒としても優れており、旨味と酸味のバランスの良さは是非一度ご賞味いただきたいお酒です。

          醸す森

          醸す森 所在 :新潟県 苗場酒造 タイプ:純米吟醸 酒米 :五百万石 新潟県のホテル醸す森×苗場酒造のタッグによって生み出された革新的な日本酒。 フルーティーでありながら、お米の甘みと旨味が凝縮された味わいが特徴で、さわやかな吟醸香と酸の感じは上等な食前酒を思わせるような、日本酒のシャンパンのような高級感。 酒処である新潟はやっぱり端麗辛口のイメージが強いですが、こういう面白い日本酒も生まれててとても奥深いですね。 最近は、こういったワイングラスで楽しむような日本酒がブ

          土佐しらぎく斬辛

          土佐しらぎく斬辛 所在 :高知県 仙頭酒造 タイプ:純米酒 酒米 :雄町 土佐しらぎくは通常八反錦という酒米を使用しているそうですが、こちらは 限定品で雄町を使っています。 ※雄町解説…雄町は日本で最も古い酒造好適米の一つ。栽培が難しく、病気に弱いため、生産量が少なく「幻の米」とも呼ばれています。雄町で造られる日本酒は、その豊かな旨味とコクが現れるといわれています。 辛口の味わいが特徴の斬辛に雄町の旨味が合わさって一挙両得の味。 スッキリとした辛口は食中酒としても優秀

          土佐しらぎく斬辛

          天明 荒セメ閏号

          天明 荒セメ閏号 所在 :福島県 曙酒造 タイプ:無濾過生原酒 酒米 :山田錦 4年に一度のプレミアム、天明閏号。 福島県の曙酒造から発売されるこの限定酒は、4年に一度の閏年に合わせて造られることからその名が付けられました。山田錦を30%まで磨く手間でありながら値段をかなり抑えたサービス価格。 そこら辺の日本酒とは一線を画す華やかな香りと強い旨味。荒セメというのは荒走りと責めの良いとこ取りということなのかな。 中々手に入れるのは難しいですが、ハレの日などを彩るプレミア

          天明 荒セメ閏号

          【書評】名探偵のままでいて

          小西マサテル「名探偵のままでいて」 『名探偵のままでいて』は、2023年に第21回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作品で、「レビー小体型認知症」を患った祖父が、孫娘から持ち込まれる日常の謎を将来の知性と認知症の症状として現れる幻視を織り交ぜながら解き明かす安楽椅子探偵ミステリー。 連作短編という形式を取っていますが、一つ一つの物語のクオリティは高く、作品が後半につれて明かされる主人公の背景とそれを踏まえた読後の爽やかな感情芽生える良作。 個人的には消失トリック

          【書評】名探偵のままでいて

          白糸70 

          白糸(しらいと) 純米70 所在 :福岡県 白糸酒造 タイプ:純米酒 酒米 :山田錦 1855年(安政二年)に創業された福岡県糸島市の酒蔵、白糸酒造による一品。 ラベルがとてもオシャレ。数字の70は精米歩合の70%。 一つ上のグレードの純米吟醸酒は55%で精米されています(こちらは紺色に銘柄の 名前だけが載っているミニマルなラベル)。更にその上に45、35と続いていきます。 グラスに注いだ時のフルーティな香りと口に入れた時の程よい辛さと後味の爽やかさ。 食中酒に最適。

          笠置鶴

          笠置鶴(かさぎづる) 所在 :岐阜県 大橋酒造 タイプ:純米酒 岐阜県中津川市の大橋酒造が製造する笠置鶴。純米酒は飲んだ瞬間のコクと爽やかに 染み込む軽快なのど越し。当方の故郷の酒であるが故か、非常に身体に合うなと感じる 日本酒です。 当酒蔵には「幻の酒 笠置鶴」という最上級ラインナップがあります。 こちらは酒米「ひだほまれ」を高精白し手作業で仕込まれ含み香が高く、旨味が 溢れる吟醸タイプ。 岐阜以外で手に入れるのはなかなか難しい品ではありますが、通販やふるさと納税にも