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映画「あんのこと」。子どもを孤独にしない子育てをしたい。
お友達とうまくいかない、勉強がわからない、先生が苦手、みんなの話している話題についていけない、クラスにいるいじめっ子が怖い、持ち物や着ているものに引け目を感じる…
小学生が学校で悩みを抱えることは珍しいことではない。
私もまた、学校で悩みを抱えていたとは思う。
けど、家では言えなかった。
(それらがなにかすらもはや忘れたが)
家でもやり場のない思いを抱えていた。
親の夫婦喧嘩、親が弟を叱る声、私に対する期待や叱責…
早く家を出たかったし、誰にも言えなかった。
(別に大した内容ではないと思うけど)
昔も今も、子どもたちは、うまく言葉にできないこんがらがった思いを抱えているのかもしれない。
言葉の力が足りなくて表現できないのか、怒られたり無視されたりするのが怖くて言えないのか…
小学生の息子の集合写真を見ると、みんなの取ってるポーズを真似しようとしてできなくて微妙な表情をしてたり隣を向いて真似しようとしている息子の顔がいくつも写っていた。
2年生になってから以前より出来事を報告してくれることもなくなっていたけど…
できずに苦労していること、結構あるのかもしれない。
助けてあげたくても学校に入って隣にはりついているわけにもいかず。
毎日送り出すことしかできない。
いつか、「学校に行きたくない」と言う日が来るのだろうか?!
まあ、考えても仕方ないので毎日私は私で楽しく暮らすことを考えている。
私の子どもの頃を思い返すと多少の悩みは自分で受け止めて乗り越えることで強くなれると思うから。
でも、そんなに簡単ではない悩みを抱えてしまう子どももいる。
「あんのこと」という映画がある。
実話を元にしたドキュメンタリーのような映画だけども、救いがなくて辛かった。
母親が酒に溺れ男を家に連れ込み、少女の育児に暴力をふるいさらに売春を強要する。母親の母親も同居していて少女はヤングケアラーのようだ。小学校もまともに通えず中学は中退、覚醒剤を使用していて逮捕されてしまう。
少女は仕事をして学校に行って覚醒剤をやめるための努力をして、更生の道を歩んでいたのに、コロナ禍で居場所がなくなっていく。何度も娘を探して闇に引きずり込もうとする母親が出てくる。最後に、少女は母親に家へ連れ戻されてしまう。
何度も何度も、希望を奪いに来る母親。
彼女もまた、もしかしたら、人生を何者かにより黒く塗りつぶされた被害者なのかもしれない。
映画の中ではシェルターの住人にまだおむつも取れていない子どもを押し付けられてしまう。(このエピソードはオリジナルで付け足されたもののようだ)
押し付けられた男の子が泣く場面の辺りから観るのが辛くて飛ばし飛ばしにしてしまって最後まではまともに観られなかった。
あん(少女)と男の子を助けてあげて!
そう心の中で叫んでしまう。
家で暴力を振るわれて、男に体を売ってその金をむしり取られるってどんな気持ちなんだろう。
母親が男を連れ込み怒号が飛び交うゴミだらけの家でおばあちゃんの心配をするってどんな気持ちなんだろう。
驚くことに、その少女は確かにこの世にいたのだ。
誰もあの子を救えなかったのか、と思う。
あの置き去りにされた男の子だって、現実にはそんな子どももいるのだろう。
私が親に与えてもらったものは愛で愛ゆえの行動で、私はずっと守られていたのだろうなと思う。
せめて、私は子どもたちが話したいこと話せる居場所でいたい。家が守られる場所であってほしい。もしできるなら、家であったいやなことを話せる誰かに出会ってほしい。
孤独にされていい子どもなんてこの世でひとりもいない。