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外資系企業って実際どう?新卒入社の日系から31歳で外資系に転職のワーママの例(後編)
前回の続き。
前回は、新卒から初めて外資系企業に転職するまでの様子と業務開始までの「外資系ぽい」と思ったことを書いてみた。この記事はその続き。
外資系企業のregionレイヤーの仕事
日系企業でもあるかもしれないが、外資系ではよく「日本法人」と「本社」と言われる組織の間に「アジア」とか「米国以外」とか「ヨーロッパ」とか中間組織が設けられる。regionと言われるレイヤーだ。(日本はcountryレイヤー)
私はそうした「アジアパシフィック地域」の所属で(法的には日本法人の従業員)、上司はシンガポールにいるフランス人、同僚は日本の他に台湾やインドや香港にいた。同時に日本レイヤーの仕事も兼ねていたので日本組織の運営も経験でき大変美味しい仕事だった。
国の仕事だけでなく、日本含めたregionの仕事の機会があるのはおもしろい。最後は組織が拡大して中東とアフリカまで担当した。日系でも北米担当とか南米担当とかあるのかな?
リモートチーム運営
regionの仕事はもちろん日本組織の運営も多拠点が前提なのでリモートチームが当たり前だった。外資系ゆえか電話会議やビデオ会議も気軽にできて皆リモート環境ネイティブ。
最初はオンラインで大人数が集まる会議って質問しづらいとか、自分が発表するときの印象をよくするのが難しいとか、話を人に振るのが難しいとか学ぶことが多かった。仕事も相手のタイミングが読みづらいとか、打ち解け方がわからないとか、最初はあたふたもした。
けど時間が経って慣れたらリモートの方がむしろ快適に(まだ2015年頃の話)!
リモートな働き方に抵抗がないのは、コロナ禍でも仕事に全然困らないという思わぬ強みになった。
(偉い人たちはいつも世界各地から仕事)
ブランド
外資日系問わず、ブランドの強い企業は強い。
1社目の外資系もその次も、プレゼンのテンプレートやオンライン会議の背景、メールの署名などすべて決まったものを用いる。独自のフォントをインストールさせられたビジネス環境のときもあった。
こういうこだわりは、個人的に好き。
2社目の外資系企業では、日系に近い組織に。仕事と育児の両立の鍵は?!
1社目も2社目も(2社目の後1社目に戻った)、S&P500にリストされている企業で、2社目は特に業界最大手だった。
が、しかし、その最大手の中身は「ん?日系企業ぽさがあるかも?」と感じられた。その決め手は組織がいかにも日本のサラリーマン集団っぽかったのである。
上司はハーフ、二次上司は外国人だったのだがなにせ所属部署は4チームを傘下に持つ50人くらいの大所帯。その全員が日本人なので公用語が日本語(二次上司のための小規模会議除く)。
面接では、やはり志望動機や過去の成果、キャリア展望などを聞かれ、言語も英語だったので油断してしまった。が、確かに2人とも男性だし、日系的雰囲気はないではなかった(おっとり感?)。
もちろん、社内の決まりやシステムはグローバルの出してくる英語のものが使われるので英語環境にはあるものの、基本は日本の会社のようだった。
社内政治や忖度、足の引っ張り合い駆け引き、変化への抵抗、年功序列のような、和を重んじる日本人の好む振る舞いがあるように思えた。幸い、性格の良い優秀な人ばかりで楽しい職場で男女比は半々でジェンダー由来のストレスはほぼなし。
しかし、私はそんなゴマスリの必要な場所でうまくやれるタイプではない。
仕事内容や職務環境には満足していたけど、外資系企業らしからぬ和風サラリーマン的な心の使い方には疲弊していた。
特に、第一子出産後はますます、子持ちのいないチームで居心地が微妙に感じ(私がそう感じただけで、別に、みんないい人たちだった)、仕事の軸足を自組織の外へ外へと動かして行った。
具体的には、グローバル組織やregion組織の外国人を相手にした仕事、部と部の間に落ちている仕事、他のビジネスセクターとの仕事、グローバルプロジェクトの日本の担当など、「何でも屋」「隙間産業」に落ち着いて行くのだった。
つまり、日本の組織に籍を置き組織長を立てたりマネジャー層に協力をしてもらいながらもっぱら、近しい日本の同僚達やグローバルの人たちと仕事をするという謎の働き方をしていた。
今思えば第一子出産後に私がキャリアを継続できた一番の要因は、横並びとか画一的なキャリアから飛び出して自分にフィットするキャリアを自ら選択をできたことではないかと思う。
業界最大手ゆえに、組織がデカく、隙間産業のための「スキマ」がある程度あって、そこにいさせてもらえたからだ。
2社目で分社化を経験。育児と仕事の両立は?
セクターを越えた異動をしてから第二子を妊娠、育休に入っている間に分社化された。
日系に勤めていた時も、競合や取引先を見て外資系企業の組織再編の多さは感じていたが(社名がコロコロ変わる)、実際自分が巻き込まれてしまうとは。
外資系企業では吸収合併で、転職したらもとの会社とまた同じになったなど良くある話だ。
分社化されて組織が小さくなってそれまで使えたクロスセクター異動の切符もなくなり、異業種の人材流入や社内規定の変更などで転職を考え始める。
外資ではこんなに会社がコロコロ変われば転職する人も増えるはずで、(今は内資も似たようなものだろうか?)実際多くの先輩同僚が転職した。転職している人が周りに多いのは、落ち着かない反面、交友関係が広がるのはおもしろい。
第二子育休復帰後1年過ぎたころ、外資1社目と縁あり転職に至る。
ちなみに、分社化された組織も外資ではあるので(またもS&P500)いかにも外資らしさはあった。
例えば、グローバルな商品展開、多国籍生産、ローンチのスピード感、グローバルなパイプライン管理など。楽しさはある。ただ、分社化という会社の状況的にタフな決定がバンバン下されるフェーズなのでそういうスリルが好きな人にはよさそうで、私には刺激が強すぎた。
タフなビジネス環境とは裏腹に、裁量労働やリモートチーム(またもアジアregion所属!)のおかげで仕事と子育ての両立的には申し分なかった。おまけにコロナ禍で出社も免れたため最大のピンチ「小1の壁」をどうにかこうにか生き抜いた。
なぜ外資系が好き?
外資系に限らず株主がいれば自然と短期的な成果が求められ、いささか無理くりなビジネス目標が課されることもあるかもしれない。
それでも、私が経験した会社はいずれも「お客様のために何ができるか?」という視点が常に中心にあるリーダーが力を持っていたと感じる。
なぜこうも外資系企業に居着いているかと考えると、個人の自己決定や自己実現を尊重してくれる文化が好きだからかな?と思う。働く人の多様性がもともとあるからかもしれない。
そうした文化は、誰でも自分らしくいられる職場につながっている。
なにせ、いつもどこかからはみ出してばかりの私に居場所を与えてくれた会社には恩を感じるし、返さなければと思う。
外資系は英語ができないと働けない?
これまで私の例をあげてみて英語中心の仕事が多そうに見受けられるかもしれない。
しかし、外資系では日本人だけのチームもある。英語が苦手な方も多数働いていた。それに外資系あるあるで、買収した企業の職員が仕事仲間になったりするが、日系企業を買収するとそこにはもともと英語を使わない方も多い。
日本人しかいないチームでも偉くなって行くと自然と本社など外国の人と接する機会が増える。しかし、まだマネジャー層なら英語を話せない人もいた(職種にもよる)。なので、英語ができなくても活躍している方は多くいるはず。
今の会社の外資ぽさ
外資1社目に出戻り転職したが、部も変わっていて人も変わっているので印象がだいぶ違う。
日本人が多く(または日本語を話す外国の方)、普段英語はほとんど使わない。けれどいつ上司が外国の方になってもおかしくなく、二次上司は外国の方。よって書いて残すものは英語が多い(人事評価やアクションプランなど)他、システムの入力は英語が多い。
仕事仲間の皆さんには、もっと外資ぽさが欲しいという方もいる。私はどちらでもよいかな、と。自己決定や多様性やフェアネスを重んじる考え方はあってコミュニケーションは日本語でちゃんと成立しているので構わないと思う。
40代ワーママでも通った転職の面接の時の様子はこちらに残した。面接で聞いたのは綺麗事でギャップだらけ、なんてこともなく、全くブラック化せず、相変わらず素晴らしい会社だと思っている。
前編に比べ後編が長過ぎになってきたのでいったんここまでで終わりにする。
思ったより自分が長く働いていたというか、歳をとったってことだろうか?!
しかし、最初に勤めた日系企業でも良い経験がたくさんできたのでまた別の記事にしたい。