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長篇小説

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「コーベ・イン・ブルー」(全7話)神戸港を舞台にしたクォーターの青年の愛と葛藤の物語。船会社の代理店から委託業務を引き受ける主人公が警察から殺人を疑われる過程で、ヤクザと渡し合い…
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2024年1月の記事一覧

南ユダ王国の滅亡(3/9)

あらすじ  時計の針はわずかずつ動く。ルーシーは神殿にいる少年ダニエルを救わなくてはならない。それが使命だと言って、ミカエルを一刻も早く聖都に向かうように急かす。神に愛されているダニエルには予知能力があり、バビロニア王国の滅びを告げるのだと。ミカエルはまかやしだと言ってとりあわない。 9 神の復讐  なんどハレルヤを叫ばされたことか。ここが夢の世界ではなく、世間で言うところのあの世だとすると、これだけ神さまを賛美したわけだから天国に近づいてもいいはずなのに、凸凹の黒い砂利

南ユダ王国の滅亡(4/9)

あらすじ  ルーシーは至聖所で祈りを捧げるダニエルの姿の幻影を、ミカエルに見せる。死を決意するダニエルを、彼を守護する少年らが引き止める。そのとき、ダニエルは、ルーシーとミカエルの幻を見、生きる覚悟をする。一方、聖都エルサレムの神殿にむかう途中、バビロニア軍の検問所でアリオクという名の男と知り合い、同行することに。道中、ルーシーは、ユダ王国がどうして滅びに至ることになったのかを語る。     11 ダニエル  薄闇の静寂に寄り添うような声が聞こえた。高くも低くもない、その

南ユダ王国の滅亡(5/9)

あらすじ  ミカエルら一行は、聖都陥落の混乱の中、住人の殺された屋敷に逃げ込む。そこには、バビロニア軍を率いるメディア人の参謀総長がいた。ダニエルは、彼に、七つの時ののち、バビロニアは滅び、メディアとペルシアの時代がくると告げる。ルーシーがラファエル天使の代理だという、馬とミカエルは会う。    13 リューアル  ダニエルには警護役の少年らにくわえて、不自由民まで複数ついてきている。もしものとき頼りになるアリオクもいる。従順とはほど遠いわたしまで、ダニエルに従うことは

南ユダ王国の滅亡(6/9)

あらすじ     ハマトで陣を張るネブカドネザル大王のもとへ。魔女と恐れられているアリスと再会。ダニエルは王の信任を得る。ミカエルは神戸に帰ろうとルーシーに言うが、ルーシーは聞き入れない。 15 神界文書  混乱と喧騒ののち、リュックを背負ったわたしとポシェットを肩にかけた秦野とルーシーとドラとはアククゥツにまたがり、ダニエルがいるかもしれないハマトへ移動した。バビロニア軍と捕虜の一行は少なくとも10日近くかかって、ハマトへ到着したはずだ。わたしたちはそれを一瞬で、移動