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小学生の私が大好きだった本たち

小学生のとき、友だちとどんな話をしていたのだろう。

そんな小さな日々のほとんどを忘れてしまったけれど、たった一度だけ読んだあの本のことは覚えている。

決して、その物語を覚えているとは限らない。

だけど、本を見つけたときのときめきや、ページをめくるたびに高なる胸の鼓動を、覚えている。

あの本に夢中だった小さな私のことを、覚えている。

本を読んでいたときの空気の香りを、いつだって思い出すことができるのだ。

そんな本たちのことを、ちょこっとだけ。


①小さい魔女
「お母さんがあなたくらいのときに読んで、読書が大好きになったの。ぜひあなたにも読んで欲しい。」という言葉とともに母から貰ったおさがりの本。
私も「小さい魔女」を読んで本の虫になった。

今思えば、母と同じになりたくて、真似をしてみただけだったのかもしれない。

②おおどろぼうホッツェンプロッツ
「小さい魔女」の著者であるオトフリート・プロイスラーさんの作品。
愉快で楽しくて破天荒な登場人物たちは、わたしの最高の友だちだったなぁ。

③透明人間のくつ下
小学校の図書館の本棚の前で、初めて喋った同じクラスの子もこの本が好きだった。
そこで意気投合したのがきっかけで仲良くなり、当時通っていたスポーツ教室に誘った。
結局、その子とは中学で部活仲間になり、高校ではライバルになり、今でもなんだかんだ仲良くしている。

④小さなバイキングビッケ
「透明人間のくつ下」のお陰で仲良くなった例の友だちがおすすめしてくれた本。
金髪おかっぱ頭の小さなビッケ。
彼の勇敢さが、小学生の私にどれだけの勇気をくれたことか。

⑤都会のトム&ソーヤ
はやみねかおるさんがいなければ今の私はいない。
はやみねかおるさんになりたくて、小学校の卒業文集の将来の夢には「児童文学作家」と書いた。
夢は変わったけれど、児童文学作家になりたいと声を大にして言っていた小学生の頃の私のことが、今だって大好きだ。


むかし好きだった本のことを書こうとすると、ついつい本の周辺に広がる思い出に溺れてしまう。

たくさんの本たちの題名が浮かんでくるけれど、彼らのことを文章にするとなんだか虚しく思えてしまう。

言葉で表現しようとすると、その表現したい対象が壊れてしまいそうになるのは、私の至らなさ故なのか。

たくさんの言葉を教えてくれた本たちとの思い出。
だけど、それらを語る言葉はまだ探している途中のようで。

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