【詩】岸辺であることの意味
あなたとわたしという岸辺は
決して交わることはなく
流れに身を削られ
運ばれてきたものを身に纏い
ただ、川が川である証であることが
自らの存在の意味のように
川を隔てて横たわる
川があるから
わたしは言葉を送り出せる
川があるから
彼方の灯火を見つめることができる
川があるから
あなたとわたしでいられる
あなたは向こう岸で
ためらいもなく虚構を脱ぎ去り
わたしはこの岸辺で
あなたの虚構を抱きとめる
約束の時間が訪れたら
物語の続きを密やかに架けましょう
絡み合わせた指の中に
川面に映り返る月の光を
包み込みながら