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詩はそこから生まれる


ジム・ジャームッシュの映画
パターソンが好きだ

多くのひとに読まれることを目的とするでもなく
日々 詩を書き綴るパターソンも

独特のセンスでマフィンを大量に作る 妻のローラも
パターソンの愛犬マーヴィンも   あたしは犬よりはネコが好きなんだけれど
マーヴィンみたいなブルドッグと散歩するのは楽しいだろう



あたしは時々、詩のようなものを書く
それを詩と呼んでいいのかは よくわからない
よくわからないくせに 昔 詩のようなものを配信するメルマガまで
書き続けてもいた


それは 何かを切り取った記憶の断片のようでもあるし
地べたを這う蟻の行列みたいでもある


黒くて小さな文字が なんだかうごめいている
巣穴はどこにあるのかわからない

ありんこみたいな文字の羅列 
だが ありんこほど勤労ではない ありんこみたいに賢くもない


ジム・ジャームッシュは語る


「身の回りにある物事や日常におけるデティールから出発し、
それらに美しさと奥深さを見つけること。 詩はそこから生まれる」

あたしは詩みたいなものを時々書き連ねる
下手っぴな字で 自分でもなんて書いたか わからないようなぐにゃぐにゃな文字で


ある晴れた日に、あたしはベランダで ひなたぼっこしながら洗濯物を干す
リビングに戻ると 彼があたしの頭をぽんぽんと撫でながら
あたまがあったかいと微笑する

えへへと笑いながら 自分で自分の頭もさわってみる
ほんとだ あったかい


ベランダで洗濯物が揺れている
彼があたしの頭をぽんぽんと撫でる


なんだか泣きたいような気持ちになりながら 風に揺られる洗濯物を見る


あたしは時々詩のようなものを書くのに
本当の詩は 書かれるまえに ここにあるように思えて
言葉というカタチにさえ なり得なくて ただただ 揺れる洗濯物を見ている


あたしがつくる詩集は だから きっと
他の誰かには読まれることはないのかも知れない


本当の詩は書かれるまえに
ただそこにあって  だれかに読まれることを必要としない


そんな 読まれることのない詩を
あたしは抱きしめている


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