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【ゴーストハント】あるいは【悪霊シリーズ】のこと。

小野不由美さんの小説(シリーズ)になります。
【十二国記】で有名ですが、ホラーを書かせても(結局のところ何を書いても)絶品です。怖いのです。

【悪霊シリーズ】とは、講談社X文庫ティーンズハートから刊行された、7作に渡るシリーズのこと。
中高生向き?らしく、ライトな語り口調で、登場人物たちがワイワイキャッキャしてます。
その後、同社ホワイトハートから続編として『悪夢の棲む家』が発行されました。こちらは対象年齢層を上げているので、普通にコワイです。

この作者さん、他の本(『残穢』)になりますが、山本周五郎賞を受賞した選考会で、「今まで読んだ小説の中で一番怖い」「手元に本を置いておくことすら怖い」と評価を受けたくらいの筆力を持つ作家さんなんです。
コワイ。読めない。

物語に夢中になって引き込まれている最中、目と頭は本に向いているのに、意識だけが周囲に向く(多分「向かされている」)ことがあります。

それまで本に集中していて周りのことなんて何も気にしてなかったのに、ふと意識だけが、現実に戻される瞬間。
途端に背後が気になり、ドアや窓の外の気配を息をのんで意識だけで探り、廊下や外の音を身動き一つしないままに拾おうとする……

そんな、得も言われぬ空気感を味わうことができます。
文章力・表現力がハンパない作家さんの、ガチホラーは心底コワイです。
理性的で頭がいい人が書く小説というのは、過不足が全くなく、何が ” 根本的に ” 怖いのか計算され尽くしていて、逃げようがないんですね。
作中の登場人物同様、段々と、がんじがらめにされて追い詰められていくしかなくなるんです。
とはいえ、途中まで読んでしまったからには最後まで読まないと、結末がわからないだけに、余計にコワイと言う(苦笑)。

まぁ、そんな小説ですが、【悪夢の棲む家】は比較的(多分)読みやすいと思うので、ぜひぜひ。

当初ティーンズ向けに発表されたからか、登場人物たちが個性豊かで、とても魅力的なんです。

容姿端麗で頭脳明晰だけど、傍若無人な美少年
寡黙で無表情な、中国巫蠱道の道士
軽薄な見かけの高野山の坊主
派手な服装に派手なメイクの巫女
テレビにも出演するお茶の間で有名な美少女霊媒師
金髪碧眼で童顔な神父

と言った、ホラー・オカルトではレギュラー扱いの職種を持つ皆さま方が、それぞれ華々しく活躍するお話……
ではなく。

” 心霊現象ありき ” ではなく、” 心霊現象の調査事務所 ” が依頼を受ける形で話が進みます。
まぁ結局のところ、” 本物だ ” ということで、ホラー・オカルト案件になるのですが。

コミカライズされた本も出ていて、これまた絵もキレイで良いのです。
が。
文章で読んだ方が怖いので(多分)、小説で読むのをおススメします。


■ おまけ

本日の怪談

コトリバコ


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