「上司vs部下あるある」の処方箋#03
上司が何でも言い過ぎ?部下が何も言わな過ぎ?
上司と部下のこんなやりとりがあったら、どちらによりシンパシーを感じますか?
どっちが悪い?何が悪い?
痛々しいほどに嚙み合っていない上司と部下二人。どちらの立場にも、覚えのある方が多いのではないでしょうか。「主張力」「積極性」が極めて高い上司と、極めて低い部下二人、さらに今回のケースは両者とも共通して「感応力」が少々低いようです。
英語版のキャリパープロファイルでは「感応力」はempathyとされています。日本語では「同情」と訳されることが多いsympathyと似ていますが、「感応力」empathyはより広い意味で、良い・悪いを問わず、相手の反応からその感情をできるだけ的確に読み取ろうとする力のことです。空気が読めない人を「KY」と言ったりしますが、KYはまさに感応力が低い状態を指しています。
この上司の場合、「確かに言った」「あの時何も言わなかった」「その後も聞きに来なかった」と正論をたたみかけますが、部下二人は全く応酬することができていません。
「変わること」より「わかること」が大事
この上司と部下は日常的に同じようなことを繰り返していることが窺い知れます。上司は部下が思うように動かないことに苛立ち、部下は上司が何を言っているのか理解できないのですが、かと言って質問すると叱責されたり、なおさらわからなくなったりするので、対話で解決することができず、結局同じことの繰り返しになってしまいます。
過去何度かご紹介しているように、人には皆、その人固有の「内的動機」というものがあり、パーソナリティはその内的動機に因って形成されるため、簡単には変えることができません。しかし「なぜそんなことを言うのか」あるいは「なぜやらないのか」という理由については、多少なりとも理解できる可能性があります。
上司の立場から見れば「なぜできない?!」と詰問することから、「部下の主張力が低いからできない」というような理解に進むことができれば、彼らの主張力を高めるための工夫をすると同時に、自分自身も部下の心情を読み取る「感応力」高めねばならない、という気付きに至るはずです。