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「上司vs部下あるある」の処方箋#04

言わないと人間関係を悪くすることもある「ある言葉」

上司と部下のこんなやりとりがあったら、どちらによりシンパシーを感じますか?

部下「大至急欲しいとおっしゃっていた競合他社のレポート、今、メールでお送りしました。」
上司「おう、今、メール来たやつな。」
部下「一応、内容ご確認頂けますか?」
上司「今、ちょっと時間ない。後で見る。」
部下「...あの、お急ぎのご様子だったので、昼休みからずっと...」
上司「あ?昼飯なら食って来いよ。その間に見とく。」
部下「いや...あの...はい...(何で一言「ありがとう」が言えないかな?!)」
上司「えっと、何しようとしてたんだっけ...(まったくこいつはいちいちまどろっこしいなあ...)」

どっちが悪い?何が悪い?

キャリパープロファイル21の指標

言わないと人間関係を悪くすることもある「ある言葉」とは「ありがとう」です。何かしてもらった時に感謝の意を表するのは至極当然のことでは?と思われる方も多いかと思いますが、そうした方の多くは「言うのも当然だが、言われるのも当然」と考えていませんか?もちろんビジネス・マナーとしてはそれが正解でしょう。

ところが、世の中には「ありがとう」と言われなくても平気な人もいます。そうした人は、日常的に「ありがとう」と言わない可能性が高く、その結果、事例のようなすれ違いが起こる訳です。

サービス精神が旺盛で、誰に対しても親切、他人のために何かをすることを好む人をキャリパープロファイルでは「感謝欲が高い」と評します。感謝欲が高い人は、相手が強い感謝の意を示せば示すほどモチベーションが上がります。

日常生活の中での人付き合いということに限るなら、感謝欲の低い人は疎まれそうにも思えますが、ビジネスの世界では必ずしもそうではありません。日々、タフな交渉をしなければならない調達や購買、金融機関のディーリング業務など、冷徹な判断が求められる現場では、感謝欲は低い方が好都合です。

感謝欲が高い人は、相手からのネガティブな反応だけでなく、何の反応も得られないというだけでも、逆にモチベーションが大きくダウンしてしまいます。キャビンアテンダントや、行政・金融機関の窓口業務など、不特定多数のお客様を相手にするような職業では、お客様にもいろいろな人がいますから、客筋によっては、感謝欲が高過ぎるとストレスを溜めてしまう可能性もあります。

不幸な組み合わせがもたらす非効率

ごくごく一般的なオフィスでも「ありがとう」の一言がないだけで、人間関係が悪くなったり、職場の雰囲気が悪くなったりする、というのは決して大袈裟な話ではありません。また労働者の技能よりも、周囲の目や職場の人間関係など外的環境の方が生産性に与える影響は大きい、とする米国の古い研究結果もあります(これには賛否両論あり、評価は定まっていないようですが)。

言い慣れていない人にとって「ありがとう」の一言は面倒に思えるだけでなく、気恥ずかしい一面もあるかもしれませんが、努めて言い続けることで、職場の雰囲気が変わり、作業効率が上がるということもあるかもしれません。

また、普段から言い慣れている/言われ慣れている人は、「ありがとう」を言わない人がいたら、不機嫌になったり、陰口を言ったりするのではなく、世の中にはそういう人もいる、という認識をまず持つようにして下さい。口に出さないからと言って、感謝の念を抱いていないという訳では決してないのです。