「上司vs部下あるある」の処方箋#02
上司がのんびり過ぎ?部下がせっかち過ぎ?
二人のこんなやりとりがあったら、どちらによりシンパシーを感じますか?
どっちが悪い?何が悪い?
この二人のパーソナリティで、違いが顕著なのは「切迫性」と「外的管理」。納期管理やスピードが求められるビジネスでは特に重要な要素です。ここで言う「外的管理」とは、第三者が決めた目標やルールをきちんと守ろうとする意志力を指します。(「内的管理」は「自分で計画を立ててやり通そうとする意志力」で、キャリパープロファイルでは「外的管理」とは別の指標としています)
今回の例で言えば、部下の方は切迫性・外的管理が高く、経理から求められている資料提出を期限内に、上司のチェックも済ませた上で行おうとしています。逆に上司の方はルールや決め事には無頓着で、物事を自分のいいように解釈しています。経理の当事者が聞けば、もちろん部下の味方をするでしょう。
二人が一組織に属する平均的な構成員ということを想定すれば、このケースでは、上司の方がやや問題あり、と考えられなくもありません。
あえてルールや慣習を破った方がいい仕事?
しかし、もしこの部下が1年365日、有給休暇もろくに取得せず、毎晩夜遅くまで残業するタイプのモーレツ社員だったとしたらどうでしょう?上司としては、多少脱力させないと身体を壊してしまう…と身を案じているのかもしれません。切迫性の高い人は、そうでない人に比べて締切や納期を間近に感じてしまうのだとすると、同じ環境下でも、人一倍ストレスを受けているということでもあり、上司としては身体だけでなく、精神面でのケアもしてあげたいところです。
もちろんビジネスマンたる者、コンプライアンスなどという言葉を持ち出すまでもなく、決められたルールはしっかり守らねばなりません。しかし、ルールの中には明らかに合理的でないものや、時代にそぐわなくなっているものもあったりします。外的管理の高い人ばかりの組織では、ルールを変えることよりも守ることが重視されるため、体質改善を進めようとしても、現場が動かない可能性もあります。
それこそ「就業規則の見直し」のようなプロジェクトメンバーには、むしろ例に登場した上司のような外的管理の低い人の方が適しているかもしれません。もっとも、切迫性が本当に低いと、今度は上層部への答申日や社内の打合せ日程などがきちんと守られず、他のメンバーが別の労苦を強いられることになるかもしれませんが…。