ワインと健康 〜 適量なら自分次第 ?! 〜
ワインは健康に良いのでしょうか、あるいは悪いのでしょうか?
おそらく現時点で言えることは「飲み過ぎは良くない」ということだと思います。
「それってあたりまえでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのとおりで、
「それ以上に明らかになっていることはあまりない」
ということなのではないかと思います。
以前よりワインと健康との関係には興味があったのですが、最近、中田敦彦のYouTube大学で「酒は百薬の長ではない?」という動画をみて気になっていました。
その後、次のことを知りました。
それは、2018年に医学的に大変権威のあるThe Lancetという雑誌に、
「Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016」
という研究成果が公表されていたことです。
本研究は、1990〜2016年に195ヵ国で行われたアルコールと健康に関する試験 (計592試験) の結果を分析したものです。
その結果、アルコール摂取の増加とともに、健康に好ましくない影響があることがわかりました。
(当時、ニュースなどでも取り上げられていたように想像しますが、存じ上げませんでした.....)
実はそれまでは、適量のワインはむしろ体によいという考えがありました。
これは、詳細は記しませんが、同じくThe Lancetに公表されたフレンチ パラドックスあるいはJカーブといった1990年前半の報告に基いていると考えられます。
また、特に赤ワインに含まれるポリフェノールによる抗酸化作用が寄与している可能性が大きく想定されてきたのだと思います。
一方、上記の2018年公表の研究では、これまでのこのような考えを支持するものではなかったということになります。
それでは、
「”適量の”ワインは健康に良いの?悪いの?結論はどっち?」
という疑問がわいてきます。
これについては、「まだよくわかっていない」と言えるのかもしれません。
2018年のあらたなエビデンスをみて、わたしがそのように思った理由は、以下のとおりです。
1. 1つの研究成果であること
2. 民族差 (遺伝・生理・文化・社会経済などの差) のある試験結果を統合して分析していること
3. アルコール摂取に関する臨床試験を厳格に実施することは困難であること
4. 研究で扱ったアルコールにはワイン以外が含まれていること
5. 純アルコール10gまではリスクは大きく増加しているようにみえないこと
ワインには実にさまざまな化合物が含まれており、またそれらがわれわれの体の中でどのように変化しているかよくわかっていないと思いますので、先の疑問が明らかになるまでの道のりはまだまだ長そうです。
厚生労働省のホームページの内容を以下に抜粋しました。
少々古い情報に基づいているかもしれませんが、上記のエビデンスがあっても、著しく外れたことを言っているわけではないように感じました。
通常のアルコール代謝能を有する日本人においては「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する。
なお、この「節度ある適度な飲酒」としては、次のことに留意する必要がある。
1) 女性は男性よりも少ない量が適当である
2) 少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では通常の代謝能を有する人よりも少ない量が適当である
3) 65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である
4) アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である
5) 飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない
(主な酒類の換算の目安 ワイン (1杯120ml) アルコール度数 12% 純アルコール量 12g)
.....ということで、
日々飲酒習慣のある方の場合、基本的には「節度ある適度な飲酒」を愉しむ
(ワインで1杯少々でしょうか)
ということで良いのかもしれません。
一方、健康に良いから.....という理由でワインを飲むことは避けた方が良さそうです。
こうして考えると、ますます量より質を愉しみたいという考えに、より傾倒してします (笑)。
(Header Photo by Annie Spratt and Another Photo with Text by The Creative Exchange on Unsplash)