モヒカンゲームの作り方②「期待感こそ楽しさの源泉」
現在クラファン中の『クソッタレ!! 世紀末モヒカン野郎300匹大行進』のゲームデザインに関する裏話シリーズ第二弾。今回もまた私が個人的に重要視している要素「分かりやすさ」についてです。
「分かりやすさ」と言っても色々あるのですが、私がよく考えているのは、「この手番に」「自分がこれをしたことで」「こんな良いことがあった」という感覚の分かりやすさです。というのは、私は、
「この手番で自分はこういう動きをしたけど、これはどう勝利に繋がってるんだ??」
というゲームがあまり好きではないのです。自分の動きがどういうアドバンテージをもたらしたのか分からないけど、終わった時には勝っていた、もしくは負けていた。何が勝因(敗因)なのか分からない……。というものです。
もちろん、こういうゲームでも売れているものはたくさんあります。あくまで個人の趣味の話であって正解・不正解ではないのですが、私としてはもっと直感的に「今これをしたらこんな良いことがあった!」という感覚を得たいのです。
そのために重要なのは、一つは視覚的イメージです。
過去作のブットバクラッシュでは、手番にカードを買うことで飛ばせるスポンジが増えたり、魔王城に防御カードを増設できるので、自分が強くなったことが視覚的に実感できます。
今回のモヒカンゲームでは、ダイスを振ると盤面にモヒカンがわらわら増えます。これはすごく視覚的・直感的なので、「分かりやすさ」は簡単にクリアできると思っていました。
と・こ・ろ・が……
実際にプレイを重ねていくと、「ダイスを振るのがあまり楽しくない」という問題が発生します。なぜ楽しくないのか? 色々検討した結果、分かったのが、「どの出目が出たら嬉しいか」が直感的ではなかった、ということです。
人間は「**が出て欲しい」という気持ちがある状態で、それを期待しながらダイスを振ります。麻雀で言えば「発が来ればリーチ」という状況なら、「発来て欲しい!」という期待感がツモをする時の楽しさ(ドキドキ感)に繋がっているわけです。「こうなったら良いのにな」という想像こそが楽しさの源泉です。
その「**が出て欲しい!」という期待感が出せていなかった。「どの出目が出てもまあいっか」という気持ちが拭えなかった。それが最終的に解決したのが、「MPシステム」の導入でした。
今回クラファンページなどでアピールしていない要素として「MP(モヒカンパワー)」があります。画像にある緑色のブロックがMPです。
MPは他プレイヤーがダイスを振った時に、自分のカードの数字マス(出目と同じ場所)に溜まります。そして、自分の手番では、自分が出したダイス目と同じところにあるMPしか使うことができません。ほとんどのスキルカードや固有スキルはMPがなければ発動しません。
これにより、「どの出目が出ると強いか」が可視化されました。MPが溜まっているマスが強い出目です。そこに向けてスキルカードもセットすることになるので、「出て欲しい出目」がプレイ中に自然と認識できます。期待ができればダイスを振る楽しみも得られます。
これが私の考える「分かりやすさ」です。「どうなると嬉しいか」が分かりやすいことがポイントです。
そんな試行錯誤の末に形となった『クソッタレ!! 世紀末モヒカン野郎300匹大行進』は現在クラファン中です。気になった方はぜひチェックしてみて下さい!
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次回はモヒカンゲー開発における難問であった「ダウンタイム問題」について書きます。
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