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日本外食新聞掲載原稿 第61話

第62話が掲載されたので第61話をアップします。
今後どうなるかわからないドキュメンタリー(実話)連載です。


実録!飲食業界のパラダイムシフトに田舎の喫茶店マスターが巻き込まれたとき、現場をこなしながらどのように活路を見出すか。601日目。


コロナ騒動が始まって2年以上経った。中でも飲食業界は規制に振り回されて一番打撃を受けた業界と言っても過言ではないだろう。もちろん旅行・観光業会やホテルなどの宿泊施設も影響は大きかったが、「夜の飲食店は諸悪の根源&コロナの温床」という言葉が与えたインパクトは、日本中の飲食店を貶めるのに十分な力を発揮した。よくもまあ無責任にこんな言葉を吐けたものだ。なんのエビデンスも無いままメディアで言われていることを鵜呑みにする馬鹿な国民たちは、周りの目を気にして一斉に夜の外食を控えるようになった。ついでにお酒も飲まなくなった…いや、規制によって飲めなくなったという方が正しいか。まぁ平たく言ってしまえば、夜の売上が取れないのだ、規制規制規制で…。もういいだろ?いい加減にしてくれ!こっちは2年以上通常営業できていないんだ。普通に営業するってそんなに悪いことなのか?早く閉めることにどれだけの意味があるんだ?2年も経てば流石に従順な一般人も気付き始めただろう、政府の規制が荒唐無稽なパフォーマンスだったということに。それでもまだ延長するんだ?3月6日で終わればよかったのに、21日まで引き延ばした理由は「感染者数の高止まり」、発表されたのはこれだけだった。やれやれ、3回目のワクチン接種も全然進んでいないのに、もう4回目の接種を検討しているとか、ホントどうかしている。

2月下旬から順調にECサイトの制作を進める傍ら、依頼されたカレーパンのレシピ作りも同時に進めていた。最初は牡蠣を茹でこぼしたお湯でカレーを作ったり、牡蠣を荒みじんにしてカレーに混ぜ込んだりして、いかに風味を強くするかに注力していたのだが、相馬社長が宮城の人気店で買った牡蠣カレーパンの写真を見て愕然とした。
「どんだけ牡蠣入ってるの?4つは入ってるでしょ!これで税込み300円って…そんなの反則やん!地元でしかできない荒技やん!これじゃあカレーの中に牡蠣を入れてたら原価合わないから、カレーは普通に作って、パンの中に牡蠣を何個入れるかだけの勝負になるね。ってことはレシピを作る必要性も無いんじゃない?それにこれをOEMしてたら全く儲け出ないよ。自社生産で販売までを一気通貫するからこそのビジネスモデルであって、間に他社を挟んでたら作る方はただただ疲弊するだけになっちゃう。牡蠣の量から考えてOEM先の利益はカレーパン一個当たり20円〜30円、1000個作っても20万円しか儲けがないってやるだけ疲れるでしょ。自社なら120円ぐらいの利益が出るから成り立つけどね」
とこんな感じで話がまとまって、私のカレーパン事業へのお手伝いは終了した。全てが全てうまく行くわけではないが、面白い経験をさせていただけたこと、相馬社長には感謝しかない。今度ハイボール奢ります(笑)

カレーパンをせっせと試作していた3月8日、一通のメールが届いた。随分と久しぶりな特許商標事務所の弁理士の先生からだ。そういえば商標登録に出願していたんだった。あまりにも音沙汰がなくてすっかり忘れていたな。あれ?出願したのってたしか……3月11日、震災の日だったよな。あっ、そうだそうだ、ちょうど1年前だ。
「秘密工房の登録査定が出ました。晴れて商標権が発生します」
おおおお!やっと通ったんだ!これで堂々とあの缶で販売できるぞ…って今までも十分販売してきたのだが、実をいうと本当はあの缶での販売はまだしてはいけなかったのだ。なぜなら【商標登録を取る前に®️をつけてはいけない】と法律で定められているのに、もう最初の缶のデザイン入稿のときから®️をつけていたので、出来上がった缶にはしっかり®️が入っているのだ。つまり出願したすぐ後に出来上がってきた秘密工房の缶には、商標登録取ってないのに既に®️が入っていたということ、なんと違法状態の缶だったのだ!弁理士の先生にも見つかって随分怒られた(ガチギレだった)が、もう3000缶発注しちゃった後だったから私には止められない(笑)ということでこれでやっと安心して通販ができる状態になったわけだ。よしよし。13日には4回目のティラミスの販売が控えている。さぁ、どうなることやら。

翌日、友人が一宮市(当店から1時間の場所)にお店を出したのでオープンのお祝いに駆けつけ、話の流れからそのお店で月に1〜2回、出張喫茶をやることになった。いいねぇ、この唐突に話が決まる感じ、面白そうなのでとりあえずやってみる。後のことなんてやってから考えればいいのだ。なんだか嬉しくなって興奮して家に帰ったのだが、はしゃぎ過ぎたせいなのか、なんだか体がおかしい。あれ?もしかして熱がある?えっ?うそ?えっ?38度あるじゃん!うわーマジかー!!また軟禁隔離生活になっちゃうの?最悪やん!!
とりあえずブログで翌日はお休みすることを告知して、次の日、朝一番で病院に駆け込んだ。これでコロナだったらマジ最悪だ。家族にも、お客さんにも食材にも申し訳ない。いやだ、絶対嫌だ。神様、仏様、僕をコロナにしないで!お願いしますぅぅ!!という願いが届いたのか、先生の口から「これは間違いなく胃腸風邪ですね」という言葉を聞いた時の安堵たるや。良かったぁ〜。これで13日のティラミスの販売が普通にできる。ちょっと熱が出ただけでこんなにヒヤヒヤするなんて…早くコロナを5類に落としてくれ。昔は39度の熱があってもお店に出るのが普通だったのになぁ〜…

そしていよいよ13日、4回目のティラミスの販売日となった。前回までの反省からティラミスは真空パックに詰めてカカオが絶対こぼれないようになったことと、天地無用&下積み厳禁シールも用意したので以前よりまた少し進歩した。では、いざ勝負!ということでいつものようにお昼12時にカートをオープン、限定数30個で販売を開始した。ランチが落ち着いた13時30分ごろ「今、何個ぐらい売れてます?」と聞かれスマホを覗いて愕然とした。「8個しか売れてねぇ」「ウソっ!マジっすか?」流石に今回は厳しいだろうと思ってはいたけど、ここまでとは。まぁ、毎回ティラミスのみの単品勝負なので仕方のないことかもしれないけど、早く秘密工房のECサイトを完成させて、ブランデーケーキやチーズテリーヌ、バタークッキーなどを投入しないとどんどん厳しくなることは想像に容易い。大急ぎでサイトをリリースしたい気持ちもあるにはあるが、焦ってクオリティーの低いサイトを作るよりは、ちょっと遅れてでも気持ちのこもった納得できるサイトに仕上げたいと思っている。結局24時を回った時点で18個しか売れていなかったが、ダラダラとカートを開けておくのもみっともないと思ってクローズした。今回はリピーターと新規が半々だ。いやでも有り難いな。これだけ毎月トラブルがあったにもかかわらず、毎回買ってくれる人がいるなんて。しかも少ないけどちゃんと新規もいるし。今度こそは何もトラブルが起きないように、細心の注意を払ってお送りしようと心に誓った。

3月16日の営業終了後、注文を受けた18個のティラミスを仕込んでいるときだった。「立ちくらみ?ん?今これって揺れてるよね?」「揺れてますね。なんかふわぁ〜ってして気持ち悪いなぁって思ってたんですよ」LINEに通知が入り宮城・福島で震度6強と出ていた。春日井市は震度2だった。ふと相馬社長や、宮城の(株)DIO鈴木社長が気になる。不二楼で一緒に呑んだ仲間だ。無事だといいけどなぁ。常々言っているが、この地震大国日本で地震対策を考えていないお店は本当に危ない。南海トラフ大地震、首都直下型大地震、富士山噴火の3つは確実に迫ってきている。30年以内に80%という高確率でだ。そしてそれは30年後かもしれないし、明日かもしれない。今のうちに考えられる対策を少しずつ準備しておくに越したことはないだろう。コロナ規制で締め付けられて、地震で息の根を止められるなんてたまったもんじゃないからな。




カフェパルランテ/秘密工房   三井隆義

〒487-0026 愛知県春日井市不二町2-6-7  0568-53-2477

営業時間 12:00~22:00 (ランチ12:00~14:30LO・ディナー17:30~21:00LO)
月曜定休 + 不定休あり(noteで告知します)
P7台(乗り合わせて来てください)

http://www.caffeparlante.com/ ←カフェパルランテの歴史(2009年7月~)
https://www.facebook.com/ciccio.don.925 ←マスターのFacebook
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三井隆義:元喫茶店マスター
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