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【ネタバレなし】映画「ラストマイル」シェアード・ユニバース・ムービーと米津玄師「がらくた」のこと

映画「ラストマイル」を公開初日に観てきた。

ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」と同じ世界線にあるという情報を初めて聞いたときから、その公開を心待ちにしていた。
公開前の予習として久しぶりに「MIU404」を一気見。
そして「アンナチュラル」の5話を観て「Lemon」を噛みしめる。
さらに「ラストマイル」についてラジオで星野源さんがお知らせしてくれて、よりその公開が楽しみに。なんといっても、星野ブロードウェイにも出演されているあのお三方の作品なのだから。その信頼度は大きいわけです。

(星野ブロードウェイとは、星野源のオールナイトニッポンの中のコーナーで、スタッフも出演するラジオドラマです。詳しく知りたい方は、ぜひ検索してみてくださいね)

そのお三方とは、こちら。
監督:塚原あゆ子
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:新井順子

もちろん「アンナチュラル」も「MIU404」もこのチームが手掛けた作品。「ラストマイル」は、この二つのドラマが繋がっている世界。シェアード・ユニバース・ムービーって言うらしい。
各ドラマからの主要キャストの出演も発表され、ドラマファンからしたらもうお祭りのようなもの。私だって「また伊吹に会える!」とか「UDIラボのメンバー元気かな~?」っていう嬉しさは隠しきれない。
でも何より私をワクワクさせたのは、野木さんの、そしてこのチームのオリジナルストーリーを新作として楽しめるということだ。

ちなみに、10月スタートのTBS日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」もこのチームのオリジナル。キャストも神木隆之介さん、杉咲花ちゃんってさ、こちらも今から楽しみすぎる。


この映画はオリジナル作品でありながら、二つの人気ドラマの世界が繋がっているというシェアード・ユニバース・ムービーでもある。で、この宣伝文句にもなっているシェアード・ユニバースって何?

人気ドラマの続編が劇場版として公開されることはよくある話だが、この「ラストマイル」という作品は、それとはまったく違う。かといってドラマを寄せ集めた作品でもない。
ドラマの続編でも寄せ集めでもなく、あくまでドラマとは違うテーマ、違うストーリーでありながら、そこに2作品と同じ世界が共有されている。ドラマ「MIU404」の劇中に「アンナチュラル」の出演者が登場したときには、すでにその構想は始まっていたと思われる。シェアード・ユニバースってなんかピンと来ないなと思いながらも、こんなに前から練られていた脚本って、どんなにすごいものになっているのだろう。と、これまたワクワクするのである。

こうして作品への期待が高まっていく中、迎えた公開日。
さらにその思いを強くしてくれたのが、主題歌だった。

米津玄師「がらくた」


映画公開と同時に配信された「がらくた」のMV。
公開日の朝に偶然、米津さんがインタビューに答えている情報番組を見た。
この曲についてのエピソードを聞き、何気なくMVを観てみたら、
もう涙が止まらなかった。

例えばあなたがずっと壊れていても
二度と戻りはしなくても
構わないから 僕のそばで生きていてよ
どこかで失くしたものを探しにいこう
どこにもなくっても
どこにもなかったねと
笑う二人はがらくた

米津玄師「がらくた」より

あぁ、そういうことだよね。
「Lemon」がドラマ「アンナチュラル」に寄り添っていたように、「MIU404」で「感電」がドラマの世界を受け止めていたように、この「がらくた」もきっとそうなんだろうなと。

この映画におけるシェアード・ユニバースって、そういうことだったの?
米津玄師がその答えを教えてくれているような気がした。
ま、客寄せパンダ的な意味がまったくないとは言いきれないけど。

って、まだこの時点では映画を観ておりません。

何だか映画を観るまでの前置きが長くなってしまった。

それでは、映画を観た感想を。
あえてネタバレしない程度に、簡単に。

まずは、野木さんの脚本の素晴らしさは期待通り、いや予想を超えておりました。
巨大ショッピングサイトの物流センターが舞台と聞いて、差し出される社会問題については何となく予想はついていたものの、エンタメとしての魅せ方との融合は、さすがだった。

そして、伊吹や志摩、ミコトや中堂さん、他のドラマキャストの方々の活躍する姿を見られたことは単純に嬉しい。ただ、登場人物が多すぎる、そして豪華すぎるので、ドラマを観ていない人にとってはゴチャついて見えたかもしれない。
でも、あくまで主軸は物流センターを舞台にした話であり、ドラマを観ていなくてもストーリーには問題なく入り込めるようになっている。そのあたりの塩梅も絶妙だ。

それにしてもキャストの豪華さには驚くばかりだが、その中でもやはり主演の満島ひかりさんの演技が光っていた。アテガキだったらしいが、主人公エレナもなかなか難しい役どころであり、彼女への信頼があってのオファーだったのだろう。

爆弾事件と聞くと、まったく自分と関わりのないことのように思える。けれど、いつの間にか主人公たちが葛藤する世界の中に自分も放り込まれていた。
そして誰もがその当事者になり得るということに気づかされる。


エンドロールで聴く「がらくた」は、「ラストマイル」で受け取った重い荷物を、少しだけ軽くしてくれる気がした。

ネタバレありの感想や考察は、他の方がたくさん残されているので、あえてこういう形での感想としてみた。

もちろん、他の方の考察を読んだりするのも楽しくて。
もう1回ぐらい劇場に観に行きたいと思っている。

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