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苦しいほど好きだった君へ #4(完)

復縁してからも、私たちはずっと変わらなかった。
ただ、喧嘩は減った。

クリスマスも、年末年始も毎年君と過ごしていたけど。その年は、クリスマスだけ一緒に過ごした。
君は"じゃあ、3日は会おうね"とちょっと寂しそうに言った。
嬉しかった。
君がまた私のことを好きになって、私に会いたくて寂しそうにしている。
まるで夢を見ているような時間。

"次はいつ会える?"
君の方から聞いてくれたことも、幸せだった。
誕生日も、また一緒に過ごせた。
私が実習の時期は、連絡をたくさんくれた。

ちょうど4年になる前の冬、お互いインターンや将来のことを考えて少しずつ連絡も減って、忙しくしていた。

年始、ダンスの部活の一部で打ち上げをする話になった。
またもやアウェイなメンツ。お酒を飲まなければ話せないくらいの空気。
やめていたお酒も、少しならと。
3杯目くらいまでは、正気だったはずなのに。
だんだんこの空気に、楽しくなってきて。
でもやっぱり、私は私で。
あれだけ約束したのに、言い聞かせたのに
また飲みすぎてしまった。

インターンやゼミ、実習、課題で忙しくしている頃お互いの返信も減ってしまった。
君の態度が冷たくなっていくのがわかった。
当たり前だよな、反省してももう。
自分で掴んだチャンスを、自分で無碍にした。

5月の初め、返信が途絶えていた君からのトーク画面から
"ちょっと電話で話したいことがある"
と通知が来た。

嫌な予感がする。私は私なりに、この半年も気を付けてきたつもりだったけど。
振られても仕方がないと思ってはいるけど。
いざ別れるとなれば、この先どうしていいかわからないし、2年以上一緒にいた人を簡単に忘れることなんてできない。
そう思いながら、電話に出た。

"やっぱり、別れるのがお互いのためだと思う"

君は絶対に考えを曲げない人だった。
2度目も、結局同じだった。
猶予を伸ばしたけど、結果同じように元通りになった。こんなに苦しいほど好きなのに。でもそれは私だけで。

"君がそういうなら、そう決めたのなら。私がいくら反論しても、私がどんなに君を好きでも、多分君の考えは変わらないと思うし、受け入れるよ"

そう言うしかなかった。これ以上君に迷惑をかけられないし、君に縋ってもまた同じことを繰り返すと思った。
半分くらいは泣いていたけど、電話を切るまでは耐えた。

こうして、私たちの計2年半は終わった。


あれから1年以上経って、立場も変わった。
隣にいる人も変わった。
私の考え方も変わった。
だけど、この2年半を忘れることはこの先一生ないと思う。
今までで、学生という一番自由のきく立場で、初めてこんなに好きになって、初めていろんな場所に連れて行ってくれた人だったから。
初めてちゃんとした恋を教えてくれて、私の至らなさに気付かせてくれた人だったから。
たまに君のことを思い出せば、今でも胸が痛くて涙が出るほど、本当に苦しいくらい君のことが大好きだった。

初めて話したあのスタジオも、わざと遠回りをして一緒に帰った帰り道も、手を握ったあの駅前のカフェのテラス席も。
部活を抜け出して入ったあの暗い教室も、大喧嘩をした吉祥寺と神保町の交差点も、一緒に乗った電車も。
勇気を出してラインをして、復縁をしたあの公園も。全部忘れることはない。
全ての日を、この先も忘れることはないよ。


どうか、この2年半の思い出の色鮮やかな部分だけが私たちの記憶に残るように。
喧嘩ばかりしていても、やっぱり思い出すのは楽しかった思い出ばかり。
君にも同じように刻まれていますように。
2人で行った場所に、あの時のキラキラした面影だけがずっと残っていますように。
この先どんなに人を好きになっても、思い出だけはどうか色褪せないで。
忘れたくない思い出くらい、頭に残しておいて。

苦しいほど好きだった君へ
私はあの2年半、一度も不幸だと思ったことはないよ。
最初に付き合った時、"幸せにします"と言ってくれた君。本当に幸せでした。
そして1日1日、全てが思い出で、全てが宝物です。
しょうもない喧嘩も、私の不甲斐なさから傷つけたことも、あの時の私たちには必要だったと思ったりしています。
この先、どんなに人を好きになろうとも、この2年半は忘れられない思い出です。
私に、初めてたくさんの感情を教えてくれてありがとう。
2年半も、私に時間をくれてありがとう。
本当に大好きでした。

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