立地と物件の話
飲食店というのは立地ビジネスで、かつては「立地と外装内装で九分九厘勝敗は決まる」などと言われてきました。2〜30年前の「普及の時代」は確かにそうでした。しかし「成熟、選択の時代」は立地や内装だけで勝利はできません。
「Q(クオリティ.S(サービス).C(クレンリネス)を追求し、評判を高めてリピーターを増やし・・・」
だなんてここで言うつもりは毛頭ありません(笑)。いや、言ってもいいのですがそんなことはきっとここの読者は既に知ってるでしょうし、他の書籍やコンサルが散々言ってることなのでそちらにお任せします。
そして、今やこの「立地よりQSCを大事に」のような説のほうが幅をきかせている感がありますので、ここでは逆に以下のことを思いっきり強調しておきます。
「立地はメチャクチャ重要です」
「立地はムチャクチャ重要なんですわ」
「滅茶苦茶に重要」なことなので東西に向けて繰り返してみました。「立地と内装で九分九厘決まる」とまでいかなくなったのは事実でしょう。しかし、それで「立地や内装は重要じゃない」という話になるわけがありません。一人でこじんまりとお店を始めようとする人がよく口にする「隠れ家のような・・・」、これは本当に危険をはらんでいるのでくれぐれも注意してください。立地は重要であるという考えは絶対のものとして、軽んじることなくしっかりと考えていきましょう。
それを大前提としたうえで、今から立地に対して「攻撃的」な話と「守備的」な話をしたいと思います。
まずは「攻撃的な話」から。
立地選定の際にネックとなるのは当然ながら「家賃」です。例えば2〜3万円の家賃の差というのは固定費ですから大きいのは確かです。しかし、その2〜3万円の差で激的に人の流れが違う物件がある場合どうでしょうか。お店が3万円余分に稼ぐためには、25日営業として、一日に1,200円分余分に売上げたら良いということです。単価600円なら1組(2人)多く来るだけです。
「甘いな、毎日常に余分に1,200円売り上げるのは簡単じゃない、わかってないなぁ」
いえ、このことは毎日現場にいる私はまだこれから始めようとしている人よりも少しだけわかっているつもりです(※さらに「売上」ではなく「利益、せめて粗利」で考えるべきだから2人ではなく5人くらいの増加が妥当、ということもわかっています)。
それを承知の上で敢えて言います。
三万円をケチってヘンテコな立地物件に決めると大変なことになります。
10万円の家賃の物件Aと13万円のBで、「30%の集客増加が見込めないと13万の物件はNG」
だなんて発想はただの机上の空論です。現実はもっと恐ろしいのです。物件Aは30%減なんてレベルではなく損益分岐点に満たない赤字店になる可能性だってあるのです。
A店が70人B店が100人来るというよりもAが0人、Bが200人というような結果のほうが大袈裟なようでいて実はリアルなのです。これらを踏まえて、くれぐれも家賃が安いからと言って変な立地を取らないようにしてください。
次に、「守備的な話」です。
では、「家賃はバーンと張り込んで20万円のところで200万円売り上げればいい」という考えは攻撃的なのではなく、自滅的破滅的、いやハッキリ言いましょう「無理」です。「ワンオペ」で「長期的継続的に営業をするお店」で「テイクアウトや通販その他の副次的な売上を含まない状態」では不可能な数値だと断言します。
そうです、ワンオペのお店というのは客数や売上の上限というものがあるのです。
つまり上限を軽く超えてしまうほどの「一等立地で高い家賃」の物件は意味がなく、無駄なのです。意味があるとすれば、少なくともワンオペではなく、20坪以上の大箱、結局チェーン店ということになりますね。
もっと具体的に言いましょう。
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