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「自家製」や「自家焙煎」の呪縛

カフェをやろうと思った時に「個人店だしチェーン店には出せない手作りのスイーツを自家製で提供しよう!」と思う人は多いと思います。
かくいう私もそうでした。
私のようなスイーツはもちろんありとあらゆる料理全般をしたことない人間がそう思うくらいですから、なまじ腕に覚えがある人などはそれこそ気合入りまくりで試作を繰り返したりしているのかもしれません。
私の場合、選択肢を狭めて「コーヒーに合う2強のケーキ(チョコレートケーキとチーズケーキ)※個人の感想です」だけは自分で作ってみよう!と思い立ち、その2種類のケーキに絞り来る日も来る日も試作を繰り返し、結果的にこれら二つのケーキを自家製として出していました。
しかし作ってるのが私一人で日々の営業と平行し作っているためお店が繁盛すればするほとにこれら2つのケーキはすぐに売り切れるという現象が続きました。
「コーヒーに最も合うケーキがよく売り切れている」という本末転倒な結果となり、創業10年を機にこれらの二つも仕入れに切り替えました。
皆さんの中にもおそらく最初から自家製ではなく仕入れのスイーツにしようと思ってる方もいると思います(私もチョコとチーズ以外の時節のケーキというメニューでは創業当初から仕入れのケーキも据えていました)。
そういう人たちはお客さんに「このケーキは自家製ですか?」と訊かれてそれが仕入れだった場合、なんとなく弱気な感じで「あ、いえ、これは仕入れているんです・・・」と言っちゃいそうな気がします(当時の私自身の心持がそうでしたから)。
同じようにコーヒー豆にしても「ここは自家焙煎ですか?」と訊かれて違う場合にどことなく後ろめたい気分になる方もいるかもしれません。
ちなみに私はコーヒー豆に関しては最初から「自家焙煎は放棄する」と決めていましたし、カレーやおでん等も独り分だけ作るより大人数作ったほうが美味しく出来るように焙煎というものはある程度多めの(10キロ単位くらい)豆を一度に焙煎したほうが良い(これには諸説ありますが有力なのはやはりある程度の規模感の焙煎機のほうが機械として優秀ということは言えるでしょう)と思いましたし、何より個人的に「焙煎」という行為はやり始めたら絶対にはまり込む自信がありました。
焙煎という作業は作詞作曲のように普段私が行っている「最高に好きな創作活動の行為」に近いものを感じていたのでそれにハマることは周りが見えなくなるという危険が大いにあったわけです。
そんなわけでコーヒー豆の焙煎は最初から「丸山珈琲」に完全に任せることに迷いはありませんでした。
しかしチョコ&チーズのケーキに関しては、やれ原価を抑えることにもなるだの、やれチェーン店にない大きめのカットにして・・・等いろいろな志と共に自作をしていました。
その時の脳内には「自家製です、と言いたい。あるいは仕入れというものへの引け目」のような考えがあったのも確かです。
しかし皆さん、断言します、お客さんが「自家製なんですか?」と訊いて来る時の相手の気持ちとしては「自家製だろうがそうじゃなかろうが別にどっちでもいい」というのが大勢を占めると思ってください。
特にそう訊いてきたということは「美味しかったから」であることが多く、それが自家製だろうが仕入れだろうがお客さんにとっては「ウマけりゃいい」という場合がほとんどであることと、さらにはこの「自家製ですか?」という言葉が挨拶のようになんとなくどこでも訊いちゃうタイプのお客さんも一定数います。
実は自分自身が勝手に「自家製、自家焙煎の呪縛」にかかっているだけだったりするということです。
これは最重要事項なので何度でも言いますが小規模個人店にとって何より心掛けなければならないのは店主のバランス感覚であります。
とりわけワンオペカフェは平常営業も掃除も会計及び精算処理も問い合わせ対応もこちらからの発信も買い物も業者さんへの連絡も何もかもやるのです。
創業から10年間私は定休日に必ずケーキを作ってましたし閉店後も2ホールは作っていました。
でもいつも言いますが店舗営業は長距離走です。
そして様々なバランス感覚、「木を見て森を見ず」にならない全体を俯瞰して見られる店主が優秀なオーナーです。
あなたの長距離走営業にもしも「自家製、自家焙煎」が足かせとなるのであれば迷わず「仕入れ」に切り替えても良いと思います。
そしてお客さんから「これは自家製ですか?」の問いに対して、爽やかに「いいえ、仕入れています!」と答えてください。
さて、ここで「ケーキをどこから仕入れて良いかわからない」という人も多いと思います。
さらに例えば「近所のケーキ屋さん(個人店)から直接仕入れる」といった方法もありますが、これは私自身そんなにお勧めはしません。
というのもそのケーキ屋さんがいつまでも続くとは限らないからです。
「10年続くお店は1割以下」という現実を踏まえてください(もちろんご自身の店舗も常にこれを念頭に置きシビアに運営していくことも忘れずに)。
そう考えると必然的に「業務用卸の業者」ということになりますが、今回はこれら「業務用卸の業者」の他にかなり理想的なスイーツ会社につい最近出逢いましたのでその情報も早速ここでは共有したいと思います。
それではいきます(今回チョット長いです)。

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