修行レポ~ひと夏の丸山珈琲~
以前書いた「開業前、やっぱり修行はしたほうがいいの?│カフェ開業」」にすごく関係している修行の実践編、というか体験日記。生々しいほうがいいなと思い、過去の自分の日記をそのまま貼り付けることにしました。
いかんせん日記4、5回分を一挙掲載ゆえよほどの忍耐力がないと最後まで読まれない気もするし、読まなくてもいいとも思うし(笑)、実際に自分はこのようにたまたま軽井沢に寝場所があったからいいけど、そうもいかない人もいるわけで、とりあえず修行をしたいなと思ってる人がいて(でもどうすりゃいいのよ!?)っていう人に応用の利くポイントを挙げるならば、
「シーズンのあるピンポイントで繁忙期のある地域のお店」
を狙えということです。
例えば、「海の家(といっても本当に浜辺にあるアレじゃなくもう少し離れた臨海エリアのカフェ)」や「スキー場のゲレンデカフェ」などです。
それからもうひとつ、運良く通年での修行、しかも給料ももらえるなどの場所が見つかったりした場合、既に開業資金が貯まっているならば、「ここで何年か働いて」と考えずに、なるべく短めに、長くても半年、出来れば1ヶ月くらいで済ませるほうがいいと考えます。というのも1年かかりそうな取得内容は実は1ヶ月でなんとかなったりするもので、それくらいの気力と熱量をもってやってほしいしきっとやるでしょうから。
と、ここまで書いておいてひとつまた気づいたのですが、
私の場合、修行は夏のワンシーズン、カフェの学校への通学は2週間程度でしたが、関連本を読んだり、参考店の来訪等、「勉強」というニュアンスと少し異なるんで、 敢えて「情報収集(暗闇に明かりを照らす作業と言ってもいいです)」としたいのですが、この「情報収集期間」に4年以上費やしているということも加えておかなければ、ニュートラルな提案とはならないと思ったので一応それも述べておきます。
以上で実はタメになりそうな話は終了です。
それでは余力のある人だけこの修行レポをどうぞ。
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さて、何の修業か、もちろんカフェの修業である。開業のことやコーヒーのことに関しては、以前にも述べたように、本を読み漁ったり、いろんなカフェ巡りをしたりして、知識と夢は膨らむだけ膨らんだのはいいが、 これでは結局ただの頭でっかち。
そして、根本的な疑問や不安は一生消えないままである。
そう、現場を知らないのだ。効率よいスタンバイ、大人数が一気に来た時のオーダー、給仕、バックヤードでの雑務などなど・・・、本などからでは絶対に知りえないことが、まだまだたくさんある。
バットとグローブを用意し、ルールブックを読んで、プロ野球の試合を見て、プロ野球ニュースで解説者の言うことも聴いて、自主トレもそれなりにやって、でも一度も試合に出てない・・・。
そんな野球選手はありえない。ていうか選手じゃない。
そういや、まだバットとグローブも買ってないや(笑)。
バンドのことでもそうだが、バンド上達のポイントは10回の練習より1回のライブだ、と少なくとも俺は思っているし、ある程度の概要を掴んだら、実践が一番だと思う。
そんなわけで、これまでもずっと実際の店での修行・見習が一番やりたくて、
求人情報を見たり、店への突撃交渉を繰り返してきた。
飲食の求人は確かにあるんだが、だいたいが居酒屋とか、カフェにしてもかなりフードがメインのところとか、40歳位までとか書いてありながら、そこで写るスタッフの写真がみんな、どう考えても10代とか20代前半くらいの女の子で、不穏な空気が漂ってたり(笑)。
そもそもこっち側の望むものもかなりハードルが高いというか、いや高くないというか(?!)、
「コーヒーが完全メインのコーヒー専門店で、基本的には店主が一人でまわせる規模で、 それでいてよどみなく客が入ってくる、いわゆる個人店の優良店」
こう考えると、そういう個人店は求人誌には載せないもんだし、結局コーヒー専門店で求人媒体に載せるなんてのは、ドトールとかスタバくらいなものである。
かくなるうえは突撃交渉である。いくつか気に入った店に客としていき、そこで話をするとだいたいはとても丁寧に対応してくれて、かつ丁重にお断りされた(笑)。
ここでひとつ強調しときたい重要なことがあって、俺はそういう店で常に、「無給」つまり、「一銭も給料は要りません」と言ってたことだ。つまりバイトでなく、ボランティアでも採用されない俺って・・・(笑)。
まぁ、店主が一人でまわせる店っていう時点で無給でさえも不要っていうところも頷けるし、 もしも俺が「1ヶ月をメドに」とかの条件を言わずに、そしてカフェをやろうと思っている、ということも言わずに、「長期」のスタンスで言ってたら、相当違う結果になってたとは思う。
「長期」といいながら入って、実は1ヶ月で辞めるみたいな方法ももちろんあったが、 俺がこれからやっていく仕事なり何なりは、すごく調子こいて言うと、「王道」、 つまり引け目、負い目を感じず、お天道様が当たる道を堂々と歩きたい!っていうやたら優等生意見をもっていて、これはカッコつけてるっていうよりも、ハッピーへの必須項目だと思うんで。
しかし、そうは言っても背に腹はかえられないというか、どうしてもどうにもならなかったら、本音を偽ってでも現場への潜入はしたと思うが、あくまで最終手段にしたかった。
「最後の切り札」とよべるカードが俺にはまだ残っていたので、そのカードをいよいよ切ることにした。
それが「軽井沢」であった。
(つづく)
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