「飲食店の内装について」
「いやぁ気持ちがいい天気といいますか、暑いくらいですよね。
【あ、アイスコーヒー2つね】さて、早速なんですがこちらの商品をご紹介・・・」
「タエコ、ごめんね呼び出して」
「どしたの急に」
「いや、アキラがさぁ【あ、ブレンドください。タエコは?あ、2つで】」
「【ホット2つね~】田中さん、これが例の夢をかなえる奇跡の壺なんですけどね・・・」
お客様が来店後すぐにこのような会話の展開になるケースが多いとしたら、そのお店は個人店向けではないかもしれません。これらのお客さんの目的はあくまでも、「商談」「相談」「勧誘」であって、店内の内装や雰囲気はさほど重要ではなく、ある程度は落ち着いて話のしやすい空間である必要はあるかもしれませんが、メニューの味等もそこまでは重要ではなく、それゆえ価格も安いにこしたことはない、といったところかと思います。
もちろんこういうお客様も利用してくださることは大変ありがたいのですが、これらのニーズを満たすお店はやはり断然、「駅前一等地、店舗面積が広く、コーヒー1杯あたり450円以下のチェーン店」がふさわしいと思います。
ワンオペ個人店が目指すべきお店は、来店されたお客様が、店内を見回し、メニューもしっかり見て、複数でいらした場合はそこの店やメニューのことを話題にし、店内やオーダーの写真を撮ったり、出てきたオーダーの味を語りあうなどしたあとに本題(?)の話に入るといった流れ、いやもっと言いますと、その店に来ることそのものが来店目的であることがやはり理想です。
こういったお店にするための重要事項はとにかく「商品力」と「店内の雰囲気」です。今回は「店内の雰囲気」、端的に言うと「内装」の話です。
「その店に来ることそのものが来店目的であるお店」にするためには、まず既にそのようになっていると思われるお店をとにかくたくさん見て回ることです。
「人気店」「名店」と呼ばれるお店に実際に足を運んでみることです。
これは別にお店のことに限らず、音楽にもファンショにも映画、書物にも言えることですが、「勘やセンスを磨く」ためにはやはり「上質な(←これも大事!)ものを数多く見聞きし、体感する」ことです。
そしてそのまず一歩としては、「こういうお店に出来ればいいなぁ」という憧れ、理想店があるとやはり良いと思います。さらにその理想のお店とは「飲食店」である必要すらありません。むしろ他業種からのヒントこそ圧倒的オリジナリティが出るとも思います。例えば、水族館、廃校、図書館、美術館、森林、工場夜景etc
実はこれ「もし今余裕があって他にもお店を出す場合」の私の脳内にあるイメージのいくつかでかなり鮮明にイメージ出来ているものなのですが、当面予定はないので、誰かやってください(笑)。
内装と共に「外装」というものももちろん大切で、とりわけ郊外ロードサイドに店舗を、と考えている方々には「外装」はメチャクチャ重要です。
しかし歩行客を主に対象とした個人店にとって重要なものは「内装」です。看板、袖看板、サイン、ファザード、もちろん重要じゃないとは言いません。前回も述べたことですが、即物的店舗広告は「内装そのもの」以外ありません。看板や外装はやはりその名の通り「外見」です。
一回だけの遊びの関係でいいと思われるより何度も会いたいと思われるような人間になるためにはやはり外見より中身、ルックスより性格重視(スゴイ例えですが・・・)かと。
ちなみにこれは極端な例としてあまりオススメはしませんが、私はお店を開く際に用意した総予算の8割強を内装費に当てました。はい、メチャクチャです。店舗取得費、前家賃、仕入れ代金、備品購入費、販促費、そして運転資金と様々な費用が必要になってくる中でそのほとんどを内装工事費に当ててしまったのです。しかも開店方法がサイレントプレオープンという手法をとったため、運転資金が底をつきそうになり本当に不安と恐怖にさいなまれたものです。
ですからこれは極端な例として全然真似しなくても良いといいますか、してはいけないと思います。いっぽうで、「どう考えてもこのお店は内装に物凄く力を入れてる(お金をかけている)」と素人目にもすぐわかるような完成度はやはりとても重要だと思います。
もちろんお金をかければいいというものでもなく、センスがあれば効率的かつとてもお洒落な内装に仕上がるとも思いますが、私はとにかく素人でした。しかし、素人目に見てもインパクトがあるかどうかという感性をしっかり持ち合わせた生粋の素人でした(笑)。
合版の木材よりも無垢の木材、クロスよりも漆喰の塗り壁のほうが、素人目線でも瞬間的にその上質さを感じ取れたゆえ、そういう作りにしたいと思い、そしてやはりこの手のものにはお金がどうしても相応にかかってしまいました。
チェーン店及び完全にビジネスとして店舗運営を考えいてる経営者にとっておそらく最重要事項の考えの中に「投資利益率(ROI)」というものがあります。
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