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お客様を思うがゆえにやってしまいがちなこと
お客A「マスター知ってた?横丁のブンさん、駆け落ちしたらしいじゃねぇかよ」
マスター「へぇ~!そりゃまたお盛んですな!」
お客A「それがなんでもよ、○×△□~~~」云々かんぬん
お客B「ちょっとぉ~マスター聴いてよ~、タエ子がまたアキラと別れるっていうんだけど、どうせまたすぐくっつくのわかってんだし、早く年貢納めりゃいいのに、まったくそばで見てるこっちがじれったいよもう」云々かんぬん
お客C「ねぇマスター、作ってやってよ、涙忘れるカクテル。あ、お酒置いてないんだっけ?」
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ごく一般的な町の喫茶店のお客さんとマスターの会話シーンですが、いきなりこんなこと言ったら失礼ではありますが、ズバリ言います、この手のお店は非常に経営が厳しいはずです。
飲み屋であればある程度の単価が確保出来るので可能ではありますが、喫茶店(単価1,000円以下ドリンク中心でワンオペの店)でこれはまず難しいです。良い悪いの問題ではなく、経営が成り立ちにくいということです。
今までの「今、まさに店内にいるお客様を何よりも大切にする」というスタンスと逆行してるんじゃないか?と言われるかもしれませんが、そんなことはありません。視点を「店内にいるお客様全体」に置くことが重要です。
例えば静かに読書したいと思っているお客様にとってはこれらの会話そのものが騒音になるでしょうし、上記のような会話からイメージするお客さんとマスターの関係はかなりフレンドリーゆえ、声も大きくなるでしょうし、場合によってはカウンターで読書しているお客さんを間に挟んで距離を置いての会話もしかねません。
いや、それ以前にこのようなお店のカウンターに読書目的のお客さんは座りたくないでしょう。
昨今の優良なカフェや喫茶店の判断基準で「女性の一人客が多いお店」というのがありますが、出来ればもう一歩踏み込んで、「カウンターに座る女性の一人客が多いお店」を目指してみましょう。
そのために必要なことは何か?それは・・・
お客さんを「ほったらかしにする」ことです。
向こうから話しかけてきた場合はもちろん応じますが、こちらからは原則として話しかけないことを旨としましょう。これは別に女性客に限った話ではありません。常連さん同士やマスターがひたすら話に盛り上がっているところに、新規でしかも読書のみならず、何らかの作業または単なる考え事をしたい人(そしてこれはお一人様とも限らず複数組のお客様にとっても)はとても入りづらい空気があります。
「今、まさに店内にいるお客様を何よりも大切にする」という心がけからつい、こちらからたくさん話しかけたり、人生相談にのったりしがちですが、本当の意味での店内にいるお客様全体を大切にするのはどういうことなのか?それは基本的には「ほったらかし」にすることであり、一方で心地よい空間を遮る物(者)には放っておかず対処をすることが大事です。
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