戦時の悲しみと芸術が導く物語たち「戦時の音楽」レベッカ・マカーイ著、藤井光訳
文学ラジオ第80回の紹介本
戦時の悲しみと芸術が導く物語たち
「戦時の音楽」
レベッカ・マカーイ 著
藤井光 訳
新潮クレスト・ブックス
多様な作品が、「戦争」と「音楽」というテーマのもと響き合う短編集をご紹介します。著者は父親がハンガリー出身の移民二世。時代も舞台も様々ですが、物語の多くに戦争の影があり、音楽を始めとする芸術が人々のもとにはある。中には読後に深い余韻を残す作品もあり、この短編集を読めて良かったと心から思いました。本書は昨年末の企画でリスナーからのリクエストで選ばれたものです。
ラジオでは収録17編のうち「砕け散るピーター・トレリ」「惜しまれつつ世を去った人々の博物館」の2本を取り上げています。
「砕け散るピーター・トレリ」は、書き出しがいい。《自分のこれまでのキャリアを危険にさらしてまで、どうしてピーター・トレリを救おうとしたのか、とカルロスに訊かれて、ぼくはこう言った。高校時代の三年間、ピーターとぼくは、シカゴで二人だけのゲイの男子だったんだよ、と。》
「惜しまれつつ世を去った人々の博物館」は事故により婚約者を失ってしまった女性の物語。知らない方が良かった事実も明らかになり、最悪の状況に陥った彼女だが、傍には芸術家の男性と戦時を生き延びた老夫婦がいた。彼女は人生は歩んでいけるのか。
他作品に触れている部分はメルマガで配信します。テーマトークでは「芸術に救われたこと」を話しています。ぜひお聴きください。
本書のあらすじ
往年の名ヴァイオリニスト。サーカスの象使い。大学教授になりすますシェフ。時代や運命の不条理に翻弄されつつも何かを生み出そうと苦闘する人々の物語は、作家自身の家族史をも織り込みながら、繫がり合うように広がっていく。ベスト・アメリカン・ショート・ストーリーズに4年連続選出された名手による、驚異に満ちた17篇。
ラジオは毎週月曜日に更新しています。
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ラジオ案内役の二人
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