語り手はヤモリ!偽りの過去は真実となるのか?「過去を売る男」ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ著、木下眞穂訳
文学ラジオ第120回の紹介本
語り手はヤモリ!偽りの過去は真実となるのか?
「過去を売る男」
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ 著
木下眞穂 訳
白水社
稀代のストーリーテラーである著者の邦訳第二作。語り手はなんと一匹のヤモリ(前世は人間で、しかもら文学的教養がある)。ヤモリが家で観察しているのはフェリックス・ヴェントゥーラという新興の富裕層相手に「立派な過去(高名な先祖や出自の証書など)」を与える仕事をしている。舞台はアフリカ南西部に位置するアンゴラ。内戦が続いた国家の暗い過去と、人々の過去、そしてヤモリの夢と記憶が入り交じる、魅惑のストーリー。ラジオで作品の魅力やあらすじを紹介しています。ぜひお聴きください。
ラジオでは第32回の配信で著者の邦訳第一作の「忘却についての一般論」も紹介しているのでそちらもぜひ!
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本書のあらすじ
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アンゴラの名手によるめくるめく物語
語り手は一匹のヤモリ。アンゴラの首都ルアンダで、フェリックス・ヴェントゥーラの家に棲みつき、彼の生活を観察している。
フェリックスは、人々の「過去」を新しく作り直すという一風変わった仕事をしている。長年にわたる激しい内戦が終わり、アンゴラには新興の富裕層が生まれつつあるが、すべてを手にしたかに見える彼らに足りないのは由緒正しい家系なのだ。そんな彼らにフェリックスは、偽りの写真や書類を用いて新しい家系図と「過去」を作成して生計を立てている。
ある日、フェリックスのもとを身元不詳の外国人が訪ねてくる。口髭を生やし、古臭い服装をしたその男は、「名前も、過去も、すべて書き換えてほしい」と頼み、大金を積む。フェリックスは悩むが、結局、ジョゼ・ブッフマンという新しい名前をはじめ、すべてを完璧に用意する。彼は大喜びし、以後、足繁く訪ねてくるようになる……
ボルヘス、カフカ、ペソーアを彷彿とさせながら、アンゴラの非情な内戦が残した深い傷痕を、軽妙かつ詩的でミステリアスに綴る。25の言語に翻訳、2007年度インディペンデント紙外国文学賞受賞作。
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