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エスプリの効いたチュニジア料理を知るための10皿
地中海に面した北アフリカの国、チュニジア。2010年末、同国中部シディブジドという小さな町で起きた、貧しい露天商の焼身自殺がきっかけで、「アラブの春」と呼ばれた反政府デモが中東地域に広がった。
独裁者と非難されたベンアリ大統領は失脚。暫定統治体制を経て、チュニジアは新憲法のもとで新たな国作りに取り組んでいる。気候も、人々の気性も地中海から吹く風のように穏やかだ。料理も、フランス植民地時代の影響も残る一味違ったアラブの料理である。以下、紹介していく。
①ショルバ
アラビア語で「スープ」を意味するのが「ショルバ」。北アフリカでは一般的に魚を使ったスープのことを言うようだ。チュニジアのショルバは、魚のほぐし身を使ったピリ辛スープ。レモンをしぼって食べることもある。
ショルバと呼ばれる魚介スープ、赤唐辛子主体のソース「ハリッサ」、名産のオリーブ、そしてパリっとモチッとしたバゲットがあればあとは何もいらないチュニジアの食事。ビールは地元の「セルティア」。チュニスのレストラン「ロリエント」で pic.twitter.com/tRwq1rifrx
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) January 29, 2015
②焼きサラダ
焼いたサラダという斬新さにまず驚き、食べてみたくなる。アラビア語でサラータ・マシュウィーヤ。
チュニジア名物「焼き野菜サラダ」(サラータ・マシュウィーヤ)。矛盾している感があるが、これはやはりサラダ。オリーブ油がたっぷりかかっている。パンにつけて食べる。「アラブの春」発端の地、チュニジア中部シディブジド郊外の食堂で pic.twitter.com/2MViS07Iq7
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) December 31, 2014
ちなみにこの記事のヘッダーに使ったのも、在日チュニジア大使館のパーティで出された焼きサラダ。火が入っているので、旅行者にも安心だし、野菜のうまみを味わうことができるユニークな一品。
③パン
フランスの影響もあってか、洋風のパンもおいしい。
チュニジアのパン。フランス風だったり、スペインぽかったり。首都チュニスのホテルの朝食にて pic.twitter.com/JMQAhToSio
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) September 17, 2016
ホテルの朝食は、カフェオレにパンというフランスっぽいスタイルのところも多い。
④チーズ
チーズも各種ある。首都チュニスのホテルで食べたリコッタチーズのさわやかな味は、今も舌に記憶が残っている。
チュニジアのリコッタチーズ。チュニスでは「リグータ」と呼ぶらしい。木綿ごし豆腐のような、なんとも上品かつ繊細な味わい。チュニスのホテルの朝食で pic.twitter.com/93LlzdFrUt
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) December 25, 2014
⑤クスクス
北アフリカを代表する料理といえば「クスクス」。具をのせた挽き割り小麦に熱いスープをかけて食べる。
北アフリカの風を思い出す味、白身魚のクスクスと、炭火でじっくり火を通した「焼きサラダ」(サラータ・マシュウィ)。そしてフランスパン。1964年の東京オリンピックで、チュニジアに初のメダルをもたらした元長距離陸上選手、ムハンマド・ガムディ氏来日に合わせて、東京都内で開かれたパーティーで。 pic.twitter.com/BjePrTYdHN
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) November 30, 2018
最初に食べたころは、もそっとしてあまりおいしいと思わなかったのだが、おいしいクスクスと出会うようになってから、好きになった。スープをたっぷりかけるのがポイントかも知れない。日本でもおいしいクスクスが味わえる。東京・板橋の「ブラッスリージェルバ」では、肉や魚入りのクスクスが楽しめる。
地中海っぽい皿に盛られたクスクス。挽き割り小麦で作る北アフリカを代表する料理。羊あばら肉の出汁がきいたスープをかけて食べる。クスクスはなめらかで、もっさり感が全くないのに驚く。チュニジア出身の女性が切り盛りする東京・板橋区の「ブラッスリージェルバ」。中山道沿い、志村一里塚のそば。 pic.twitter.com/SzOL4bA6Mn
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) April 9, 2019
⑥羊のグリル
チュニジアも羊肉をよく食べる。焼いて塩味だけで食べるといい。「アラブの春」の震源地、シティブジドからチュニスに帰る途中の街道沿い、肉屋に隣接したレストランで食べたグリルは野趣あふれる美味だった。
炭火で焼いた羊肉。塩だけの味付け、引き締まった感じの肉は、都会で食べるのとは一味違う。チュニジア中部シディブジド郊外の肉屋兼業の食堂で pic.twitter.com/WlQWpIrxQQ
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) January 9, 2015
⑦クーシャ(羊肉の壺煮込み)
珍しかったのが、クーシャという壺で煮込んだシチューのような料理。
羊の肉と野菜を壺で煮込んだクーシャ。チュニジアの名物料理らしい。ほぐれ肉のうまみが野菜にしみこんでいる。チュニス中心部のチュニジア料理店「ロリエント」で pic.twitter.com/lfA4lutYIi
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) October 24, 2014
ビーフシチューとはまた別の羊のうまみが、野菜にまでしみ込んでいた。
⑧ピザ
地中海をはさみイタリアは至近の距離だけに、イタリア風のピザの店がたくさんある。窯で焼くパンについては、イタリアにも負けない自信があるのだから、ピザもおいしくないわけがない。
チュニジアはピザが安くておいしい。このマルゲリータが200円たらず。シチリア島がすぐ横ですから。チュニス中心部シャルルドゴール通りの軽食店「ミマ」で pic.twitter.com/vRg7EC0DoG
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) October 30, 2014
⑨焼き魚
特段高級でもない魚をシンプルに焼いた料理。チュニジアでは、それが一番おいしかったかな、という気もしている。
チュニジアで焼魚の付け合わせは、フライドポテトや大きな唐辛子など。ところ変われば品変わる。チュニス中心部のレストランで。 pic.twitter.com/Eb04PMTT4c
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) May 28, 2016
つけあわせは例の焼きサラダや、それほど辛くない唐辛子、フライドポテト。この辺のわき役も、白身の焼き魚ととてもよく合うのだ。
⑩スパゲティ
ピザもあるなら、当然パスタもある。ゆで方は少し柔らかめ(アラブ圏の共通点でもあるのだが)なものの、トマトソースのものは、日本のナポリタンのような雰囲気を漂わせる。庶民的な食堂では看板メニューになっていることもある。
久しぶりに日本のナポリタン的スパゲティを食べた。チュニジア・チュニスのカイロ通り。レストラン「ナイル」の小イカのトマトソース。麺は、ソフト麺みたいで懐かしい味。店主もジェントルで、また行きたい pic.twitter.com/9iWwpFqYlv
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) October 30, 2014
ここでは触れなかったが、チュニジアはワインも有名。手頃でおいしいものがたくさんある。チュニジアの食を深く知れば、北アフリカの旅もさらに楽しさを増すのは間違いない。
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