カフェバグダッド

中東コラムニスト。エジプト、イランに在住9年。中東の奥深さを、文化、歴史を交えて紹介。「季刊アラブ」(日本アラブ協会発行)編集委員。ウェブストア https://cafebaghdad.booth.pm/ 執筆依頼などは、kubo3070★gmail.com (★→@)まで。

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中東コラムニスト。エジプト、イランに在住9年。中東の奥深さを、文化、歴史を交えて紹介。「季刊アラブ」(日本アラブ協会発行)編集委員。ウェブストア https://cafebaghdad.booth.pm/ 執筆依頼などは、kubo3070★gmail.com (★→@)まで。

マガジン

  • カフェバグダッドニュース

    プレスリリースを含め、カフェバグダッドについての過去のお知らせなどをまとめています。

  • カフェバグダッド20年史

    2004年に設立された「カフェバグダッド」の歴史を振り返ります。①本編となる「年代記」②SNS発展史との関係を記した連載③2024年4月の記念イベントの際に行った20年を振り返る対談のテキスト--があります。

  • 中東シネマ倶楽部

    中東(オリエント)地域の映画レビュー、映画祭リポートをお届けします。

  • ワールドシネマ・レビュー

    カフェバグダッドが鑑賞した中東関連以外の各国映画のレビューが収録されています。

  • 中東の少数派ヤジーディ

    古代メソポタミアの信仰に源流を持ち、長くイスラム教徒などの迫害を受けながら、独特な宗教グループとして存続してきたヤジーディ。日本でほとんど知られとこなかった少数派を通じて、中東・オリエント地域を新たな視点から見直してみる。

最近の記事

文学フリマ東京39に出店します…今回から会場は東京ビッグサイト

2021年秋、初めて参加した文学フリマ東京が「33」だったので、これで7回目になる。 https://bunfree.net/event/tokyo39/ これまでは、浜松町からモノレールで行く東京流通センターが会場だったが、今回から東京ビックサイトに変わる。「コミケ」の会場にもなる巨大な空間があるらしいが、実は行ったことがない。 2,000を超えるブースが、その巨大空間に並ぶらしい。ちょっと想像もつかないが、カテゴリーで色分けすると、こんな感じらしい。 カフェバグダ

    • 「中東カフェを旅する」初版・正誤表

      2024年3月30日発行「中東カフェを旅する-カフェバグダッドの20年」の正誤表になります。久しぶりに、全ページ読み返してみたのですが、結構発見されました。 第2版を発行する場合は修正したいと思います。読んでいて、あれっと、思うこともあるかと思いますが、何卒ご容赦のほど、よろしくお願いいたします。 【はじめに】 2ページ・1行目 思っいたら⇒思っていたら 2ページ・4段落・1行目 風土がが⇒風土が 【中東カフェ図鑑】 5ページ リヤーリ・タウフィキーヤの項目 古きよき⇒古

      • 20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑨(おわり)

        「アラブの春」が始まり、チュニジアやエジプトで政権が崩壊。東日本大震災直後の騒然とする日本に帰国したのは2011年の4月。それから2年余り、東京の新聞社の国際報道部門で、ニュース編集者の「デスク」として勤務。この時期は、激動の中東情勢にほんろうされ、カフェバグダッドの活動は事実上の休眠状態になる。2013年から約3年、再びエジプト・カイロに赴任し、勢力を拡大していたIS(日本メディアの多くは「イスラム国」と表記した)の動向取材に追われた。そんな中でも、出張先でカフェを訪れるこ

        • 20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑧

          テヘラン時代の最後に、「アラブの春」と「東日本大震災」という大きな出来事が起きる。騒乱のエジプトに出張取材に行くものの、政権崩壊の場面には立ち会えなかった。予想がしばしば覆される、中東情勢取材の苦渋に話題が移っていく。 カ テヘランにいたのは、2008年9月から2011年4月までなんですけど、最後の時期に「アラブの春」と「東日本大震災」がありました。この2つのできごとは私にとってもとても大きい出来事でした。岩手県で生まれ育った者としては、震災をイランからテレビを通じて呆然と

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          20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑦

          カフェバグダッドが始めたイベントは、水たばこも提供するスタイルから、中東の生活文化に関するトークイベントへと変化していく。しかしそれも、2008年に店主がイランに転勤になったため、しばらくして休眠状態に。滞在先のイランでは、各地の水たばこカフェを訪ね歩くことになり、ますます中東のカフェの魅力にとりつかれることになった。 カ 水たばこを提供するイベントを何回かやってみて、オペレーションが結構大変だなあ、ということになった。それで、その後は、講演会形式のイベントに移行していった

          20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑦

          20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑥

          カフェバグダッド草創期の話はつづく。六本木のバーや、目黒のホテルのラウンジでも水たばこが出されていて、シーシャ普及の時代到来を感じさせた。話の後半は、比呂さんが中東を好きになったきっかけに話題が移る。失恋直後に向かったイエメンが、人生を変えたのだという。 カ カフェバグダッド・イベントを始めた2004年頃には、下北沢の「シーシャ」のほかには、六本木には「ボンバーシーシャ」というバーみたいな店も水たばこを出していた。六本木交差点の近くに。あと、目黒の目黒通り沿いにあった、「ク

          20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑥

          20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑤

          カフェバグダッドの第一歩となった、「一日カフェ」の会場は、東京・下北沢にある「現代ハイツ」に決まった。カイロで買ってきた水たばこ10台を持ち込み、エジプトのポップス音楽についてのトークイベントを実施。2004年7月のことだった。てんやわんやで開催したイベント。その後も場所や形態を変えながら、継続していくことになる。 比呂 そういえば、「現代ハイツ」というカフェ。名前は聞いたことがあります。 カ 「現代ハイツ」は、水たばこを提供していない、日本の普通のカフェです。残念ながら

          20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑤

          20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談④

          2024年4月に開催したカフェバグダッド設立20周年記念イベントでのトーク。映像ディレクターの比呂啓さんとの対談でそのあゆみを振り返る、というものだった。話はようやく、カフェバグダッドの始まる時期の話題に進んでいく。 比呂啓(以後、「比呂」と表記) で、カフェバグダッドが立ち上がるのは、いつなんですか? カフェバグダッド(以後、「カ」と表記) カイロの最初の駐在から日本に帰国した2004年の4月です。それがいわゆる「カフェバグダッド成立の瞬間ということになります。 比呂

          20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談④

          「スウェーデン・テレビ放送に見るイスラエル・パレスチナ 1958-1989」評

          映画タイトル通りのドキュメンタリー。スウェーデンの公共テレビが製作した、イスラエル・パレスチナ紛争にかかわるドキュメンタリー的番組をおおむね時系列順つないでひとつの作品として仕立てたものだ。 パレスチナの人々の苦難の生活の様子、今はなき指導者のインタビューなど、映像が強く迫ってくるシーンが多く、3時間という上映時間もそれほど長く感じなかった。ひとつひとつのパーツは断片的なのはもちろん仕方ないことだが、個々の作品の全体をみてみたいと思ったものが多かった。印象的な場面を箇条書き

          「スウェーデン・テレビ放送に見るイスラエル・パレスチナ 1958-1989」評

          アフリカ・ベナンの文化財返還めぐる映画...「ダホメ」

          今年の東京国際映画祭でみる初のドキュメンタリー作品。西アフリカ・ベナンに17〜19世紀頃に存在した「ダホメ王国」の美術品など文化財26点が、旧宗主国のフランスから返還されるという出来事を追った作品。 ポルトガルの植民地だったアンゴラの歴史を題材にした「英国人の手紙」と並び、今年の同映画祭で上映されるアフリカ植民地支配がテーマ。 美術品の素晴らしさにも目を奪われるが、フランスによる文化財返還をめぐり、ベナンの若者たちが、さまざまな議論を戦わせる場面がとても印象的だった。

          アフリカ・ベナンの文化財返還めぐる映画...「ダホメ」

          神田神保町「おもしろ同人誌バザール」体験記

          「インディーズ本」「情報系同人誌」を売る人・サークルが集まる「おもしろ同人誌バザール」に参加した。実は、春に秋葉原で開催されたバザールが初参加で、今回の神田神保町の回は、2回目ということになる。 春の時は、終了後、あわただしく盛岡に行ったこともあり、あまりこのイベントについて振り返ることもしなかった。今回は、ブースの両どなりの方々とも結構話したり、来ていただいたお客様ともは割によく話したりしたこともあり、いろいろ考えることもあった。せっかくなので、それを書き残してみようかと

          神田神保町「おもしろ同人誌バザール」体験記

          2人の女性で描く激動のアフガニスタン現代史...「シマの唄」

          主人公のひとり、シマは、天賦の音楽の才能と美声を持つアフガニスタン人女性。その親友で、アフガンの識字教育に意欲を燃やすソラヤ。この2人の苦渋に満ちた人生を通じてアフガン現代史を描いた映画。ソ連の影響力が拡大する中で政情不安が進行していく1970年代後半の情勢が、その後、現在まで続くアフガンの戦乱につながっていったかを、人々の生きざまを通じて知ることができる作品だ。 民族楽器ルバーブをかなで、イスラム神秘主義が底流にある歌を歌い、音楽家の道を進もうとしていたシマの人生は、比較

          2人の女性で描く激動のアフガニスタン現代史...「シマの唄」

          独居老人問題扱うイラン映画『私の好きなケーキ』

          前半はコメディタッチ、なのだが、話が展開するにつれ、ほんわかとした題名に似つかわしくない、イランにも忍びよる高齢化社会の現実を投影したシリアス作品の色を濃くしていく。 夫を交通事故でなくし、一人娘は結婚して海外で暮らしている、庭付きの家にひとり暮らしの70歳の女性が主人公。同い年で、妻と離婚してやはりひとり暮らしのタクシー運転手を街のレストランで見初め、家に招き入れる。 その積極さに、違和感を感じる人もいるかも知れない。ただ、女性は街では、頭髪の露出を取り締まる「道徳警察

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          スロバキアの自然と少年群像...『大丈夫と約束して』

          スロバキアの映画をみるのは初めて。東京国際映画祭のコンペに出品された、カタリナ・グラマトヴァの長編デビュー作。 マクドナルドもない田舎で暮らす主人公の少年は、悪友とバイク遊びに明け暮れる。母と祖母の3人暮らしだが、母は出稼ぎ仕事のためだといってオーストリアに行ったままなかなか戻らない。祖母との仲は険悪。夢も希望も見いだせない状況で、ムラ社会で母についての悪い噂が浮上し、主人公も疑念を深めていく。 遠くスロバキアのお話しではあるが、貧困、犯罪など社会をとりまく状況は、日本も

          スロバキアの自然と少年群像...『大丈夫と約束して』

          人生の活路をムエタイで...イラン映画「マイデゴル」

          逆境の中で、懸命に生きる女性を描くイラン映画は多い。特にイランの外で上映されるイラン映画にはそれが多い気がする。それは、イランのイスラム体制下の女性の人権状況に、国際的な関心が高いことと表裏一体なのだろう。 「マイデゴル」も、そうした作品群のひとつと位置付けられるのだが、さらにこの作品は、イラン国内で暮らすアフガニスタン難民問題、という要素も加わっている。 主人公の両親は、アフガニスタン生まれで戦火を逃れて隣国イランにやってきて、主人公が生まれた。イランで生まれながら、イ

          人生の活路をムエタイで...イラン映画「マイデゴル」

          コロンビア内戦を背景にした"西部劇"…「アディオス・アミーゴ」

          2024年の東京国際映画祭が始まった。福岡に巡業に行っていたこともあり、日程3日目からの参戦になった。最初に鑑賞したのは、コンペ出品作の南米コロンビア映画。 舞台は20世紀初頭、内戦下の渾沌とした世情にある同国。政府軍と反政府軍(革命軍)が入り乱れる山岳地帯で、利害で同盟し、対立する人々を笑いもまじえて描いている。 「マカロニ・ウェスタンのスタイル」が採用されているというが、登場する「小道具」は南米らしいものが多い。コロンビアという国を知るために直接役立つという感じの作品

          コロンビア内戦を背景にした"西部劇"…「アディオス・アミーゴ」