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浴場から描かれる凄惨なテロの時代…「私は今も、密かに煙草を吸っている」

今年のイスラーム映画祭が、東京・渋谷のユーロスペース(ユーロライブ)で開幕した。初日の16日、2本目のアルジェリア映画「私は今も、密かに煙草を吸っている」からのスタートとなった。

アルジェリアの首都アルジェにある、公衆浴場の女性風呂が舞台。中東で今もよくみかける「ハンマーム」(ハマム)とよばれる銭湯は、湯舟につかる日本の銭湯とは違い、スチームの風呂。アルジェリアでの撮影が認められず、ギリシャ・テッサロニキにある歴史ある公衆浴場でロケしたという。

アルジェリアの首都アルジェ旧市街(カスバ)の路地裏(2014年4月)

時代設定は1995年。アルジェリアでイスラム過激派武装組織による無差別テロが頻発し、多くの犠牲者が日常的に出ていた頃だ。庶民の憩いの場である公衆浴場で交わされる客や経営者との会話を通じて、凄惨なアルジェリアの現実を間接的に描いていく。

冒頭にあいさつした映画祭を主宰する藤本高之さんが、強調していた通り、こうした状況は極めて局地的かつ、限定された時代のできごと。極めて特異であったからこそ、映画のテーマにもなったといえる。

作品は、フランス語の戯曲をアラビア語で映画化ものだそうで、確かに、舞台演劇を思わせるセリフや立ち回りが多かった。登場する女優たちも、演技派がそろっていた。

作品に通底するのは、過激主義や、教条的なイスラム主義への批判。1990年代武装組織によるテロが頻発したアラブ圏にあって、おそらく最も暗黒の経験をしたアルジェリアの人々の悲しみや怒りにじみ出ているように思えた。



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