文学フリマ大阪紀行…岐阜にはじまり奈良で終わる
東京以外で開催される文学フリマには、いつも滞在を前後に延長して、開催地周辺の物見遊山もしている。イベントに参加してZINEを売ってトンボ帰りでは、もったいない気がするからだ。とはいえ、これだけ長旅になったのは初めてのこと。
今回の文学フリマ大阪(9月8日開催)では、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、奈良県を1週間かけて回った。車を運転して移動し、大都市にはほとんど足を踏み入れず、いわゆる郊外のような場所を訪ねた。個々の街での体験は、改めて詳しく記すこともあるかも知れないが、まずは、ざっくり今回の旅を概観してみたいと思う。
【岐阜】
埼玉県在住なこともあって、往路は関越自動車道と中央道を使って移動した。朝早く家を出て、関越で長野・佐久まで進み、一般道を通って、岡谷から中央道に乗って、岐阜・多治見まで行った。
多治見に行ったのは、幸兵衛窯を見学したかったため。江戸時代からの歴史を持つ、著名な美濃焼の窯元だが、先代、先々代が、中東イランの「幻の古陶」の復活に尽力したことで知られる。概要は、以前書いた以下のエントリーにまとめてある。
この幸兵衛窯、陶芸ファンやイラン好きにはぜひ訪ねてもらいたい場所。先代、先々代が製作した、「ラスター彩」というイランの陶芸技法を用いた作品を多数展示。さらに、古いペルシャ陶器のコレクションも圧巻。テヘランにある、ガラス・陶器博物館でみたものとそん色ない器が間近でみられるのだ。
多治見の市街地のほうは、陶器店を2、3か所回っただけだったが、また機会があればゆっくりみてみたいと思った。
【愛知】
今回の旅の隠れた目的が、愛知県のトルコ料理店を食べ歩くこと。ざっくりいうと、名古屋市の港区、北郊の小牧市、西郊の津島市あたりの店をまわった。
その様子は、ツイッターでさみだれ式に紹介しているので、関心がある方はチェックしていただきたい。
ちなみに、この食べ歩きの基本資料となる「愛知トルコ料理レストランリスト」は、大部分を一緒に食べ歩き、文フリ大阪にも共同出店した、映像ディレクターの比呂啓さんが作成したもの。このリストなくして、食べ歩きは実現しなかった。比呂さんに改めて感謝したい。近く、食べ歩きの記録を自身のnoteでまとめるそうなので、楽しみにしている。
わたしのほうも、今後、なんらかの形で文章にまとめることもあるかも知れない。
結局、名古屋市中心部に足を踏み入れたのは、食べ歩きの間隙をぬって、名古屋城横の県立図書館に行った時だけだった。それもまた、名古屋都市圏の一断面をじっくり見聞するよい機会になったと思う。
【三重】
愛知から、三重県に向かう。国道2号線沿いに南西へ。ぐうぜん、亀山市にある旧東海道の宿場町を通りかかる。古い町並みが保存されていて心ひかれたが、先を急ぐ。三重県での最大の目的は、津市美杉町丹生俣という山間のムラをみること。ここは、昔、大学時代にフィールドワークで1週間滞在したことがある場所。足を踏み入れるのは、大学生の時以来で、なんともセンチメンタルな気持ちになった。その日は松阪に泊まる。
【京都】
松阪から、伊賀上野を経由し、木津川沿いの道を北上して京都に向かう。京都といっても、洛中に足を踏み入れたのは、シェア型書店の「こもれび書店」さんに行った時だけ。京都府南部・京田辺市のシリア料理店「サハラ・ムーン」を訪ねたのが、最重要イベントだった。
【大阪】
ようやく、文フリ開催地の大阪へ。埼玉を出て4日が経っていた。しかも大阪といっても、滞在は、大阪府門真市。最近できたという大ショッピングセンター「ららぽーと」に近くのビジネス旅館にチェックイン。車が無料でとめられるし、文フリ会場のある天満橋まで、京阪電車一本で行ける。大阪中心部のホテル代の高騰を考えると、とてもよい選択だったと思っている。ここに2泊。文フリに参加して、打ち上げを西天満のアラブ料理店「七つの丘」で開催。
大阪に来たら必ず食べに行っている人気店。今回も大満足だった。
【奈良】
門真から東大阪市を経由し、奈良県へ。未訪問の唐招提寺、法隆寺を参詣し、奈良盆地南部の明日香村へ。飛鳥時代の遺物とされる大きな石製の遺構をみるのが目的だった。宿泊は、橿原市にあるゲストハウス。翌日は、途中、名古屋に立ち寄り、料理を食べ逃していたエジプト料理店「セドラ」でエジプト式ピザを堪能。第二東名を疾走して、夜、埼玉に帰着したのだった。
というのが、「文学フリマ大阪紀行」の概要。肝心の、文学フリマ本体にまったく触れていない。これについて書き出すと、あまりに長くなってしまいそうで不安なのである。
多くのお客さまにブースに立ち寄っていただき、ZINEをお買い上げいただき、交流・対話もすることができた。文学フリマと、その前後の各地周遊で、これまで以上に実りの多い旅だったと感じた。
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