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「最後の晩餐」 - あなたなら今世界が終わるなら何を貫きますか? 関西演劇祭でオパンポン創造社の作品を見て感じた生きる事のスタンスについて

※スタッフでも何でもなく、単なる1ファンがどうしてもたくさんの人にこの世界に触れて欲しいので書きました!画像一部イメージです。

「得体の知れない光景」目の前で起きていることは、まさにそんな表現しかできない光景だった。

裸で鳥のクチバシだけで股間を隠した男が、SM嬢からムチで打たれている。

創作である「演劇」とわかっていなかったら、おそらく「目の前で何を見せられているだろう」となるだろう。

それに、女王様の主婦と、街中で出くわした奴隷志望の男、そこに鉢合わせする夫の3人が「なぜこんな事を白昼(多分)にしているのか?」をきっかけとした会話から始まっていく。

これは、オパンポン創造社という関西の劇団の演目「最後の晩餐」という演目だ。

「地球最期の日に何をして過ごしていくのか?」を登場人物たちがそれぞれの欲望に合わせて過ごしていく時間を切り取っている。

ここに登場する3人の登場人物は「悔いがないように非日常とやりたかったこと」を選んだ。

それは、SM、痴漢といった、「やりたくても世間的な視線から躊躇する事」をここぞとばかりにやり残さない事だった。

そして、自分の深層心理を解放して悔いを残さない。コメディタッチで爆笑が続きながらその光景をただ見させられていく。

いつか、この作品のように世界最後の日が来るとしたら、自分は誰と何をして過ごすだろう。

・大切なひととゆっくり過ごす

・やりたいことをやる

・悔いが残らないようにやりたいことをやる

・とりあえず考え事をする

100人いれば100通りの過ごし方があるだろう。

実際に、非日常を過ごす彼らが、我に帰り、窓を開け、外を見たら、「1人で終わりたくない人達」は集い、アメージンググレースを集団で歌う光景も聞こえてくる。

「神の恵みで恐る心を癒し、救いを求める」事が歌われたゴスペルの1曲。

街位の人々は、終わろうとする瞬間に救いを求めた。

しかし、彼らはどこにでもある光景、

「残り物のカレーを食べて最期を迎える」ことを選んだ。

妻役の女優は、外で見える地球が終わろうとしている瞬間を窓を閉める事で遮り、どこにでもあるカレーをみんなで食べる事に集中できる状況を選択した。

そこで今まで自分たちが繰り広げてきた事に「虚無感」を感じていく。

結局人は死ぬかも知れない瞬間に「慣れ親しんだ事をする」ことで、「慣れに帰る」事を選ぶのだろうか。

人生がよかったかどうか。なんて、恐らく最期の瞬間に、「幸せだったかどうか?」を感じようと必死になってしまうのだと思う。

無理に特別な事をする必要もない。慣れている事で安心しながら大切な人達に囲まれながら終わっていく。

そこで泣きながらカレーを食べることで「いつかの日々」を思い出していく。

特別な事をやろうとしても、結局は自分が安心できる「慣れ」の安心感と、大切さを見つめ直す事に帰っていく。

これは、「超非日常フィクションの世界」をテーマにしつつも心に残るのは、誰でも起こりうる「圧倒的なリアリティ」そのものなのだ。

精神的な帰巣本能とでも言えば適切な表し方となるのか・・・。

「あなたは何が大切ですか?」という本質的な「自分自身」を見つめ直すきっかけを、強烈な非日常のシチュエーションから考え直させてくれる演目。

オパンポン創造社が見せつけてくる「あなたの深層心理」。

そこから、「スタンス」「生き方」「あなたの価値のあるもの」それって何ですか?案外身近なところにありませんか?と再発見のきっかけを与えてくれる。

特別はいつもの場所にあり、案外見落としているかも知れない。大切なものは側にあるから、普段から忘れないように見ておこう。

そういう普遍性を、狂気の光景から見つめなおさせてくれる。そんな舞台。

これから残り2回、公演を見るチャンスがある。まだ間に合うのです!

26(木)15:30 ザ・プラン9×オパンポン創造社

27(金)19:00 オパンポン創造社×夕暮れ社 弱男ユニット

【チケット】

ぜひ、この世界観から大切な何かを見つめなおさせてくれる45分を体験してもてほしい。

オパンポン創造社の主宰、野村有志の創る作品は、「行き場のないシチュエーション」で、「精一杯の強がりをして気を紛らわしながらも自分の中に眠る生き方」を考えさせるきっかけを与えてくれる作品ばかり。

それは、勇気を与えてくれると主に、「あんた、本当はそれしたかったんだよね?」と鋭利な刃物で突きつけつつ、本質の生き方を見つめなおさせてくれる、とても人間味に溢れた作品。

辛いことばかりでも、幸せなことばかりでもなく、「結局はどう思うも自分次第。だから生き方はあなたの自由です。幸せも生きている人の数だけあるのだよね?」と思い出させてくれる、人生の本質を見せてくる。

エンターテインメント作品っていうのは、

1.とにかく楽しむための世界に没頭する

2.何か考えるきっかけを持ち帰らされ、自分を見つめ直す

の大きく2つの種類があるのでは?と思っていた。

しかし、彼の提示するものは「笑わされながら日常を追いかけながら、最後に本質を突いてくる」類のものだ。それは誰かの人生であり、自分たちの人生観への揺さぶり。

きっと、あなたにとって「最高に大事なもの」「生きるべきスタンス」を見つめるきっかけを、笑い泣きしながら見せてくれるはず。

もし、見る機会が今回ないのであれば、DVDも手に入るので世界に触れられます!

【関連リンク】

オパンポン創造社



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増田ダイスケ
新しいzine作るか、旅行行きます。