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印刷会社の仕事は、もはや印刷ではない。
本日のメンター:印刷業界 Oさん
世界三大発明と、デジタル革命
皆さんは「世界三大発明」をご存じでしょうか?
ルネサンス期のヨーロッで発明・普及され、人類の歴史に極めて大きな変革をもたらした3つのもの。
火薬、羅針盤、そして活版印刷です。
現代の高度情報化社会に生きる皆さんであれば、人間社会において「情報」がいかに重大なファクターであるか、私が説明するまでもなく、肌身に感じていらっしゃることと存じます。
私たち印刷業界は、まさに「情報」を「製造」するメーカーとして、明治時代からこの国を支え続けてきた産業です。
しかしご承知のとおり、近年のインターネットの発展、各種メディアのデジタル代替によって、私たちの事業環境は大きな変化にさらされてきました。
かつて、二千年続いた「写本」の文化が「活版印刷」に取って代わられたこととなぞらえて、印刷は斜陽産業だという人もいるでしょう。
けれども、話しはそう単純ではありません。
私たちの事業のコアは「印刷物」ではなく「情報」そのものにあります。
印刷業は、印刷機をまわすことが商売じゃない。
今日は、このことについてお話しできたらと思います。
印刷会社に求められること
さて、“印刷会社" にいま最も求められていることは、なんでしょうか。
安価で大量に印刷物を製造・販売できること?
情報を間違いなく、正確に伝えられること?
いずれも「間違い」とはいいませんが、「本質的」ではありません。
私たちの社会は、インターネットが台頭したために、情報の新陳代謝がめまぐるしく変化するようになったと強く印象付けられてきました。
しかし、情報が新陳代謝するのは、昭和でも、明治でも、それ以前でも同じことです。
情報は、いついかなる時代においても「生き物」であったことに、変わりはありません。
インターネットやデジタル媒体が台頭する以前から、私たち印刷業界では「同じ製品を繰り返し製造すること」は極めてレアケースでした。
私たちが作ってきたのは、顧客の販売促進のための情報であり、最新の知識・知見を伝える文献であり、いずれも変化し続けるものでした。
そして私たちが真に価値を発揮するのは、情報がもつ価値をさらに高められるかにあり、印刷業の本当の魅力は以前からそこにあったのです。
したがって、私たちは製造業でありながら、伝統的に「無形商材」を扱ってきた業界であるといえます。
15年のキャリアからみえる世界
私は印刷業界で営業の仕事を、15年 担ってきました。
もちろん最終的な製品として印刷物はありますが、私の工数のほとんどは、クライアント企業のマーケティングや、具体的なプロモーション方法の検討、そしてデザインの提案に割かれています。
最近は印刷をともなわない、インターネット上のプロモーションやコミュニケーションを企画することも少なくありません。
このように、私の仕事は製造業の営業担当のみならず、企画・マーケティングの領域に深くかかわっています。
まさにプロデューサーの立場で、クライアント企業のマーケティング担当者と、クリエイティブを作るデザイナーの橋渡しをする役割です。
クライアントの目的を達成するために、最も良い表現と方法を考える。
印刷物をはじめとしたプロダクトの製造は、その上に成り立つものなので、印刷機を回すかどうかは本質的には問題でないのです。
私が思うこの仕事の楽しさは、クライアントや、プロジェクトによって、世界観ががらりと変わること。
つまり、様々な業界に没入する感覚を、体験できることです。
クライアントと二人三脚で作り上げたキャンペーンが成功したときなどは、達成感一入。
自分もマーケットを動かしている構成員の一人なんだと、得も言われぬ感覚が湧き上がってきます。
受注産業といわれた過去と、目指すべき未来
しかし、認めざるを得ないこととして、印刷は長年「受注産業」と言われてきました。
自ら仕事を取りに行く必要はなく、むしろどんな会社でも印刷業務は必ず発生するので、積極的な売りこみをしなくても、潤沢に仕事がもらえた時代があったことは確かです。
けれども、それは過去の話。
少なくとも私が働いてきた15年は、仕事はデジタルとともにあり、クライアントのニーズの核心を考え続けることが常に求められてきました。
印刷会社の仕事は、もはや印刷ではない。
この新しい常識の元で、新しいチャレンジができる環境。
印刷業界の面白さ、ここにあり!
これが、本日私がお伝えしたかったメッセージです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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