金持ちジュリエット
シンガーソングライター織田誠は、他のアーティストへの楽曲提供も多数行うヒットメーカーだ。
その織田に、有名アイドル事務所の新グループの、デビュー曲の依頼が来た。早速楽曲制作に取り掛かり、オケのデモ音源は3日で仕上げた。後は作詞と歌入れだ。
しかし、織田は作詞が苦手だった。印税の為に作詞家に頼みはしないが、苦しむ事も多い。今回もまた、煮詰まった。
そんな時、彼には切り札がある。
単語の書いたカードが大量に入った箱から、2枚を取り出し、それを繋げてタイトルにするのだ。強引だがタイトルが決まると、そこから言葉が連なることも多い。
それから2か月後、東京ドーム公演で、アイドルグループRomioは華々しいデビューを飾った。
「聞いて下さい!僕達Romioのデビュー曲、『金持ちジュリエット』!」
その曲は大ヒットを記録し、グループは一気にお茶の間を席巻した。
織田は1人、本当にこれで良かったんだろうかと、贖罪の念にかられるのだった。