プロのドライバー
築30年を過ぎ、リフォームをせずに延命し続けている木造の我が家。
外壁の塗り直しと耐震補強はしたものの、さすがにちょいちょい修繕が必要になる。
そんな時お世話になるのが、その道20年余、ベテラン便利屋の服部さんだ。御歳63歳の坂崎さんは、40歳の時に脱サラし、独学で便利屋を始めて、取得した資格の数は20を超えるのだそうだ(船舶免許とか漢検とか、仕事と関係ない物も多いらしいが)。
「まいどっ!」とやった来て、チャッチャと作業を済まし、「ほなっ!」と去って行く。
今回はドアの歪みの調整を頼んだ。自分で安物の工具でやろうとしたら、ネジ山を駄目にしてしまった。
「あれまぁ」とひと言呟いた服部さんが、いつも通りチャッチャと作業をする。その手元には木製の持ち手の年季の入ったドライバー。
「いつのですか?」と尋ねたら「一番始めに買った工具の、最後の1本なんでさぁ」と嬉しそうに教えてくれた。
その笑顔を見て、「日本一っ!」と僕は思った。