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失恋は、『深海』の奥底に。

思い出の曲というより、アルバム丸ごと。

Mr.Childrenの『深海』です。
1996年にリリースされた5thアルバム。

20代前半の頃、人生で唯一、付き合っていた彼女にフラれる経験をしました(感じ悪い)。

「あぁ、俺ってこんなに泣けるんだ」

そう思ってしまうくらい、泣きました。

当時は本当に泣かない人間だったので、それは新鮮な衝撃でもあったのです。とは言え、その喪失感は過去に経験したことの無い、それこそ精神災害MAXレベルのもので、結構ハードな仕事に就いていたのに食事がまともに取れず、ひと月で7kgの不本意な減量に成功しました。60→53。

『深海』は、その時の僕の壊れかけた心(壊れかけって言うと、ついradioって言いたくなる)に寄り添ってくれた作品です。

リリース当時は、ミスチルがブレイクした直後。正に絶頂期です。
なのに、描かれているのは酷くダークな世界観。前作『Atomic Heart』で確立したさわやかなバンドイメージを、自ずから破壊しに掛かってます。

1曲目のインストで海に潜り、2曲目のシーラカンスで海の底に辿り着きます。途中、シングル『名もなき詩』や『花 -Memento-Mori-』といったヒット曲もありますが、最終曲の深海まで、全体としてやはり人気絶頂のバンドが出すアルバムとは思えない暗さ。前述の2曲以外にもヒット曲を連発してるのに収録しない、闇への徹底ぶり。
※6th『BOLERO』に無事収録されました。

原因は当時の桜井さんの精神状態。プライベートな問題もあり、本当に「死にたい」と思ったりもしていたそうで、その闇の部分を塊として放出した。

だからこそ、僕に寄り添ってくれたわけです。

暗い気持ちの時には暗い曲。正しいセオリー。

ありがとう、いい薬です。

ダウナーな期間を経て、少しグレて金髪になったりしましたが、僕は回復することが出来ました。

普通に恋愛もして、結婚もして、子どももいます。
『深海』のおかげですね。

『深海』が未だに名盤として語られるのは、誰もが持つ、“心の闇”に働きかけてくるからだと僕は思っています。その闇が、活発に動いている時ほど、効能が発揮されます。たぶん。

勿論、普通の状態で聴いても、紛う事なき名盤ですから、聴いたことが無い方は是非アルバム丸ごとで聴いて下さい。じゃないと、効能が薄れてしまいますからね。丸ごと、です。

丸ごとですよー(しつこい)。

これはオマケです。

名曲じゃのう。

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