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行き止まりを作らない話し合い

夜中の2時に電話が鳴った。

想定内といえば想定内。

その前日に新聞に出た“参加者募集”の問い合わせ先がスギタの電話番号だったから。

賛否の大きく分かれる意見交換会。広く知られている事実や、目の前に出された数字だけでは解決できない、たくさんの社会的課題の中のひとつの話し合い。

電話の主は、超反対派の70代男性。

70代男性にとっての夜中の2時って、早いのか遅いのか?・・・。

『開催に意味はない。すぐやめろ』
『お前は国の手先なのか』
『いくらもらった?』
『国を売るつもりか?』

国の手先で国を売るって・・・発想すごいな。

それよりも、
この時間にこのパワーで電話をかけれるこの人の想いって何だろう?
このエネルギーの源はどこにあるんだろう?

そんなことに強い関心を持ちながら
丁寧に説明した。

スギタは、話し合いの場を作ることだけが仕事で、
賛成や反対や推進や抵抗・・などの意向は持っていないこと。

そして、
この問い合わせ窓口は、会場や時間、定員など事務的な事項の問い合わせであり、内容にかかわる意見要望に関しては直接来場いただいて話してほしいこと。

それでも勢いは止まらない。

だんだん、やっぱりそのエネルギーの源が知りたくなってきた。

『こんな場を作ること自体非常識だ!』

いやいや、夜中に電話をかけてくる人と常識非常識の基準は合意できないと思うけどね。

スギタ;『この電話を掛けるときに、躊躇しましたか?』
男性 ;『は?』
スギタ;『掛ける・掛けないの選択をするとき、何があなたの背中を押したのか、それがとっても知りたい』

そのあとは、
これから生まれてくる孫の心配。生まれ育って町内会長までやったまちの未来。何もなくて不便だけど平和だった昔の話。

男性が話してくれる内容にはたくさんの愛があふれていて、
もっともっと聞きたい気分だった。
会場に来てくれる約束を取り付けて電話を切ったのが、朝の5時。

単純に、『迷惑だ』『やっかいな人だ』で終わっていたら、
愛を感じることなんてできなかった。

この経験から、4年。
こんなエネルギーを持つ人が場にいる話し合いにずっと興味がある。

賛成と反対だけで話をする場には意味がない。
行き止まりを作るだけの場はかえってヒトを頑なにする。

行き止まっちゃいけない社会課題はたくさんある。

ずっと話し合える場をいかにつくるか。

1人1人の何を引き出すのか。

全てはファシリテーターにかかっている。

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