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中学生になる前の身体づくりで準備しておきたいこと-食事編-

はじめましての方も、以前の記事を読んでいただいた方もこんにちは。
福岡県でスポーツ栄養士×アスレティックトレーナーとして活動している後藤優子です。

福岡ではトレーナーやスポーツインストラクターを養成している専門学校での講師、こども食堂の運営サポート、市の離乳食教室&キッズクッキング教室、企業の健康支援でトレーニング指導、女性向けパーソナルトレーニングなどをおこなっていて、オンラインでは、千葉県のジュニアサッカークラブの食事サポートやダンスアカデミーの栄養学講座を担当しています。

また、食にまつわるイベント(農業体験、オリジナルスポーツドリンク作りなど)を開催したり、食育と運動をかけ合わせた遊びを考案してイベントに出店したりと、「楽しく学ぶ」をモットーに日々奮闘しているところです。

自己紹介はこれぐらいにして、さっそく本題に入ります。

今回のテーマは「中学生になる前の身体づくりで準備しておきたいこと」を栄養学の観点からお伝えする、です。

中学進学、高校進学などのカテゴリが上がったタイミングでのケガや身体の不調が起こりやすく、それらをいかに防ぐことができるかは、選手としても長く野球を楽しんでいくためにもとても大切です。

トレーニングとあわせて食事にも意識を向け、皆さんの心身ともに健やかな野球ライフのお役に立てれば幸いです。

1.はじめに

身体づくりのお話しをするうえで必ず伝えていることがあります。

「なぜ食事が大切なのか?」

それは、野球の練習や持久力アップ、スピードアップのトレーニングをする前の段階までさかのぼります。

厳しいトレーニングを支えるのは身体。
その身体をつくるための材料は食事(栄養)。

ケガや病気がない状態にする、体調や気分がよい状態を保つことを「コンディショニング」というのですが、食事はコンディショニングを支える土台になっています。

土台ということは、これをおろそかにすると、トレーニングや練習の成果が思ったように出ない状況に陥りやすくなります。

さらに、小学生から高校生の間は身体(見た目)が大きくなることはもちろん、からだの中も目まぐるしく変化している期間=成長期です。

そのため、食べているつもりでも食事量や必要な栄養素が不足しているなんてことも起こりがちです。

食事やトレーニングとあわせて忘れてはならないのが「休養(睡眠)」。
小学生は9~10時間、中学生は8~9時間の睡眠が必要とされています。

練習時間、塾などの習い事、ゲーム、動画視聴、スマホでのやり取りなど1日のスケジュールを見直して、まずは睡眠時間の確保を優先しましょう。


2.自分がとるべきエネルギー摂取量とは?

わたしたち栄養士は選手の食事サポートをおこなう際に、必ず「推定エネルギー必要量」というものを数パターン算出します。

その際に必須となる数字が体重です。
皆さんは体重をはかっていますか?

成長が止まってしまった大人は、活動して消費したエネルギー量と食べ物や飲み物から得られる摂取エネルギー量を同等にして体重を維持することが求められますが、背が伸びる、筋肉がつくなど組織がどんどん大きくなる成長期にはそれではいけません。

では、いったいどれぐらい摂取すれば不足することがないのか、実際に計算してみましょう。推定エネルギー必要量の計算式は以下の通りです。

基礎代謝基準値×現在の体重×身体活動レベル+エネルギー蓄積量

用語の解説をしていきます。

①基礎代謝基準値
基礎代謝基準値とは体重1kgあたりの基礎代謝量の代表値のことで、年齢や性別で異なります。

※基礎代謝とは、ひとが生きるうえで必要な最小限のエネルギーのこと。

※数値は5年ごとに見直しがあり、現行は2020年版の食事摂取基準の数値を用いていますが、2025年版の食事摂取基準では、以下に紹介する数値が変わる可能性があります。

②身体活動レベル
座位安静時を1.0としたときに、日常生活や運動、活発な活動が何倍にあたるかを示した数値のことで、年齢毎に数値が異なります。

ほぼ外出せずに家で座って過ごすことが多い場合は「低い」、通学や通勤、買い物、家事、散歩などはあるものの座っている時間が長い場合は「普通」、立ち仕事や頻繁にスポーツ活動を実施している場合は「高い」を選択します。クラブ活動や部活動をしているお子さんは「高い」に該当します。

③エネルギー蓄積量
成長期には筋肉や骨などさまざまな組織が大きくなっていきます。そのために必要なエネルギーを「エネルギー蓄積量」といいます。

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