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【読書ログ】vol.5 『リスキリング 実践編』① リスキリング=学び直しではない。

 今日は、現在読み進めている本『リスキリング 実践編』から得た「学び」について書いてみたいと思う。(前著『リスキリング』は読んでいません。)

 この本では、企業や個人がリスキリングと向き合う上で持つべきマインドセットや、学習の仕組みづくり、リスキリングに対する誤解や学習の目的・内容選定における年代別ティップスなどリスキリングにまつわる様々な内容がわかりやすく解説されている。
 「実践編」というだけあり、今すぐからでも学習を始められそうなくらい内容が具体的かつ実践的ですごく良いなぁ〜という感じ。


学び

① リスキリングと学び直しは性質が異なるものである
② リスキリングに対する企業の誤解
③ 何を学んだら良いか迷っているという人に対して


① リスキリングと学び直しは性質が異なるものである
 リスキリングとはあくまで、組織が従業員の職業能力を再開発するという趣旨で欧米で定着した言葉なのだそう。
 つまりリスキリングが注目されている背景には、「技術的失業を防ぐ」、「成長産業への労働移動を実現する」という政府や企業側の目的が存在しており、個人が好きなように学ぶ「学び直し」や「キャリアアップ」とは性質の異なるものなのである。


② リスキリングに対する10の誤解
 本書では、研修=リスキリングやあくまで転職のためのもの、個人が自主的に取り組むもの、などリスキリングという用語に対するさまざまな誤解が触れられている。
 特に個人的に印象に残ったのは、「誤解④ リスキリングの機会を提供すると社員が辞めてしまう」である。
 確かに私の周りにも会社の制度を活用してMBA進学をしたにも関わらず、復帰後転職をした友人が何人かいる。そうした現実を踏まえれば、「人材育成に投資をすると人材が辞めてしまう」という不信感を持ってしまうのは当然だと思う。
 しかしながら、著者はリスキリングの機会を提供しないままの企業の方が危険だという。
 理由は二つ。一つは現在の若い人々の就職先選びの基準が「自分を成長させてくれる会社」になっているから。つまり良質なリスキリングの機会提供が得られる会社には優秀な若い世代が入ってくると考えられるし、その逆もまた然りなのだそう。
 もう一つの理由は、一つ目からつながる通り、優れたリスキリングの仕組みを用意している会社では、例え新たにやりたいことを見つけて退職する社員が出てきたとしても、また新たに優秀な人材が入ってくる可能性も高まり優秀な人材の「正の流動化」を期待できること。
 無論リスキリングの機会を提供するだけでは十分でないと言えるが、少なくとも機会提供の本気度が企業の人気度に関わるということが理解できた。


③ 何を学んだら良いか迷っているという人に対して
 学習に必要な考え方として、本書では「学習を構成する10要素」とそれぞれの実践方法が展開されている。
 特に興味深かったのは、①学習目的と④学習内容 の二つ。

学習目的】
 
リスキリングを始める前に、自分は何のためにリスキリングをするのか、そもそもリスキリングをする必要があるのかを考える。
 現在担当している仕事のタスクがデジタル技術の進化によってどんどん自動化していくことがわかっており、将来の選択肢を増やす必要があるためなのか? 市場ニーズが高く保有する人材が希少なスキルを獲得することで給与を上げるためなのか? あるいは自分自身のキャリアをアップデートし、成長分野での仕事に就くためなのか。
 この目的意識が、学習内容の選定やそれを継続させていく、またの拠り所になるわけなので戦略的に考えていく必要がある。

【学習内容】
 学びの内容はあくまで個人の自由であることは前提にありながらも、リスキリングが必要だと考えられている最大の理由に遡ると、デジタル技術の進化により人間の労働が自動化し、そうした仕事内容の変化に対し何かしらの対応が必要となることが背景にある。
 それを踏まえた上で、学習内容を選定するポイントとして労働市場ニーズと将来のトレンドと、現在の保有スキルや知識を最大限活かすということが挙げられていた。
 たとえば将来的にどの業界、セクターが今後成長するかを考え、そこに沿った分野の学びを行う、あるいは現在自身が持っているスキルの「類似スキル」を獲得することに努める、など。
 学習目的と同様、内容そのものは将来を切り開く上で大きな道標、またの拠り所になるわけなので戦略的に考えていく必要がある。


 どちらかというと人より好奇心が強く、何かしら学びたい、という「学習意欲そのもの」が先行している私のようなタイプにとっては、こうした「リスキリング」の意味、目的、内容選定を戦略的に考えるというアプローチは新鮮に思えた。

 次回は、上記を踏まえて今後自分が考えていきたい内容を棚卸していきたい。


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