星野源のエッセイおもしろい!
星野源さんの「いのちの車窓から」をよみました。
ミュージシャンとしての星野源しか知らなかったので、この人こんなに面白いエッセイを書くんだ! という驚きと、星野さんのフィルターを通して見る世界はあたたかいな、ということを感じました。
星野源のエッセイはなんで面白い??
星野さんの文章が面白いなと感じる点は、別々のエピソードを話しているように見えて、その2つを絶妙にリンクさせている点にあります。単体で読んでも面白いし、通して読むとなんとなく学び、気付きがあると感じます。
たとえば「作曲をする日々」というエッセイ。この中では、前半にギターのサウンドホールの中にピックが入ってしまったという話しが出てきます。
その後に続くのはこんなエピソード。
日系アメリカ人の役を演じなければならず、ネイティブの先生を雇って英語の発音勉強をしている、と続ける星野さん。何度も練習することで次第に英語の細かな発音のちがいに気づくことができるようになった、といいます。
そのドラマ撮影がおわった後、星野さんは作曲に臨もうとギターを手に取ります。しかしあいにくピックがどこにも見あたらない。どうしたら…と思っていたところ、ギターの中に迷い込んでいたピックが、ちょうど良いタイミングでポロン! と転がり落ちてきたのです。
きっと星野さんは、粘り強く頑張っていたら、しかるべきタイミングでできなかったことができるようになる、幸運が訪れたりする、ということを言いたかったのではないでしょうか。ピックが転がり落ちてきた現象に、星野さんはそんな意味を見出したのではないかなと思うのです。
別々のように見える2つのエピソードに、共通したメッセージを書くことができるのが、星野さんのエッセイのすごさかなと思いました。
その人のフィルターを通して世界をみる
星野さんは文章を書くことについてこう言っています。
この本に書かれているエピソードはどれも素朴なもの。日々目の前に転がっている景色を、この作者だったらどんな風に見るのか、世界にどんなフィルターをかけているのか。それを知ることができるから、エッセイはおもしろいんだなと思いました。
星野さんのフィルターはなんだかどれもあたたかかったです。アメ横の叩き売りの人みたいなガサガサの声で接客する陽気な店員さん、街中でペットのようにタワシを連れて歩く謎の人物、紅白の前口上を全部覚えている構成作家。
登場する人全員に、敬意を払っていること、星野さんがその人たちのことを魅力的だ、好きだと感じていることが、強く伝わってきました。
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