業務プロセスとは、働く人たちの物語である
同じ業務であっても「どのような流れで処理するか」という業務プロセスは各社各様。そこには
「ここがうまく回っていない…」
「こうすればもっとスムーズにいくんじゃないか」
…という、働く人たちの苦労と創意工夫が詰まっています。
つまり業務プロセスとは、働く人たちによって紡がれてきた物語であると言えるでしょう。
そんな切なる想いを込めて、BYARDのユーザーさん4社にご登壇いただき、2023年10月のユーザー会にて「ストリーム自慢大会」を開催しました。
※ストリームとは、BYARD上で「業務の流れを可視化」したものです
オフラインのイベントで「その場限り」で見せていただいているため、画像でお見せできないのは残念ですが、エッセンスとなる部分を本記事でまとめておりますので、ぜひご覧ください。
この記事の後半では、BYARD代表の武内がおこなった「BYARDの今とこれから」のプレゼンの様子もレポートしております。よろしければ、こちらも続けてご覧ください。
※以下の目次からジャンプしていただくこともできます
1. ストリーム自慢大会
1) それぞれのツールの良さを生かして「使い分ける」
ユーザーの皆さんに見せていただくなら、まずは自分たちが、実際に使っているストリームをご覧に入れなければ…!
ということで、先陣を切らせていただいたのは当社・BYARDの鈴木。カスタマーサクセスチームで実際に使っている、BYARDの生の画面を大公開!
…したところ、そのストリームはあまりに生々し過ぎて会場からどよめきが。
詳細は控えさせていただきますが、受注に関するプロセスについてご紹介しました。
BYARDを活用することはもちろん、それ以外のツールともうまく組み合わせて、業務を効率化しています。
例えばNotionとの使い分け。
Notionでは“カンバンビュー”を使ってチームとして中長期で取り組んでいることを管理し、BYARDでは現在進行形で具体的に取り組んでいることを管理しています。
いわばNotionは自宅に置いてある世界地図のようなものであり、旅行で手に持っていく現地の地図がBYARD、というような関係性になっています。
会場からの質問タイムでは「営業プロセスの管理で、BYARDとSalesforceをどう使い分けている?」という質問をいただきました。
BYARD社でも、営業プロセスは基本的にSalesforceで管理しています。ただ、Salesforceは基本的に「受注するまで」の管理であり、受注した後のプロセスまでは管理しづらい面があります。
そこで、Salesforceでは受注までのプロセス管理のため主にセールスとマーケティングで活用し、BYARDでは受注した後の営業事務の処理・契約書の締結・カスタマーサクセスへの引き継ぎなどを管理するようにして、使い分けをしています。
2) 月ごとにカードを整列させることで「通年でおこなう業務」のリソース管理
株式会社シーズ・経営企画室の庄瀬さんより、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の管理業務に関するストリームをご共有いただきました。
この業務の特徴は「通年で取り組んでいる」ということ。
毎年9月にスタートして翌年7月までの11カ月間、9月はこれ・10月はこれ…というように毎月処理すべきタスクが発生します。
その管理の工夫として、処理すべきワークカードを月ごと・縦に並べて整理。
こうすることで、この月に処理すべきカード=この月に処理すべき業務の量が可視化され、「今月はカードの枚数が多い=業務量が多いから、他の業務とリソースを調整しよう」という判断ができるようになっているのです。
※BYARDなら、ホワイトボードに付せんを並べるように、実際の業務の流れに応じてカードがレイアウトできます!
庄瀬さんによれば「BYARD導入前はどの業務も担当者個人のマンパワー頼みで、まさに属人化の極みのような状態だった」とのこと。
会社の拡大に伴って増えていく業務をBYARDで効率化し「エンジニアさんがより開発に集中できる環境づくりのために、業務改善を進めていきたい」と語っていらっしゃいました。
シーズさんの導入事例はこちら👇
上記のインタビュー記事に納まり切らなかったトピックをスピンアウトさせた「こぼれ話」もあります👇
3) 新しいツールを社内へうまく浸透させるための「アンバサダー」
会喜地域薬局グループの高橋さんからは、薬剤師の方を各店舗(薬局)に配置するための「シフト管理業務」のストリームのほか、BYARDを社内にうまく浸透させるためにおこなった「社内アンバサダー制度」についてもご紹介いただきました。
「アンバサダー」とは、日本語でいえば『広報大使』のような意味。
会喜地域薬局グループさんの社内においては「そのツールの知識に詳しく、現場へ普及する役割を担う人」という位置づけです。
新しいツールを導入する際には「社内にいかに定着させるか=実際の現場でちゃんと使ってもらえるか」が重要ですが、そこには一筋縄ではいかない難しさがあります。
定着がうまくいかず「導入したものの現場で使われずに、結局そのまま放置されて…」というケースは珍しくありません。定着できるかどうかは、すべてのツールに共通するお悩みポイントです。
アンバサダー制度の第1号はSlackで、導入〜現場への浸透まで1年計画だったものが、なんと、わずか2カ月で達成。
これには会場からも大きな反響があり、出席者からは「うちの会社でもアンバサダーを置けばよかった…」との声があちらこちらで聞こえてきました。
Slackの際には若手の方がアンバサダーを担ったそうですが、BYARDは業務プロセスを設計するツールのため、比較的ベテランの業務を広く知っているメンバーをアサイン。
その結果、マネジャーから細かな指示を出さずとも、現場で自発的にストリームを作って運用できるようになったそうです。
会喜地域薬局グループさんの導入事例はこちら👇
こぼれ話noteはこちら👇
4) 「100点を目指さない」ことで壁を乗り越える
ベレックスホールディングス株式会社の大山さんからは、社内でBYARDの導入推進を担当された立場から、BYARDを使い始める際の“壁”を乗り越える方法をご紹介いただきました。
「業務をカードとして書き出し、順番にならべて業務の流れを描く」というBYARDの使い方にとまどい、最初はまったく手が動かせなかったという大山さん。
業務プロセスの設計に詳しい上司から「いつでも相談してね」と言われていたそうですが、「中途半端な状態では見せられない…」と考え、一人でもんもんと悩んでしまったそうです。
その“壁”を乗り越えた方法とは、ずばり「最初から100点を目指そうとしない」こと。
詳しい人に相談しようにも、相談の“たたき台”となるものが何もなければアドバイスを受けようがありません。
はじめから完璧なものなど作れないという前提で、ちょっと作って相談、ちょっと作って相談…の繰り返しにより、少しずつBYARDが大山さんの手になじんでいったのだそうです。
そしてもう一つ。
導入の“壁”を乗り越えたポイントはプレッシャーだと大山さんは語ります。
BYARDのカスタマーサクセスとミーティングをすると「次のミーティングはいつで、それまでにこの宿題をやりましょう」というプレッシャー。
BYARDの更新が止まっていたら、しつこいと思われようが現場の担当者に小まめに声がけし続けるプレッシャー。
これらのプレッシャーによって大山さんは背中を押され、大山さん自身も現場で使う人たちの背中を押して、社内への浸透を進めていきました。
もちろん、ただ厳しくお尻をたたくだけでなく、分からない部分は丁寧かつスピーディーにサポートすることも忘れません。それらを総じて「優しさとプレッシャーのバランスです」と語っておられたのが印象的でした。
ベレックス・ホールディングスさんの導入事例はこちら👇
こぼれ話noteはこちら👇
5) 「振り返りを当たり前に繰り返す」ことが、メンバーの主体性を引き出す
ストリーム自慢大会のトリを務めていただいたのは、株式会社ヒトカラメディアの下白石さん。チームでBYARDを使う際のコツをご紹介いただきました。
下白石さんがBYARDの導入にあたって重視したのは「自分が指示を出すのではなく、メンバーが主体的に改善をおこなっていけるチームづくり」でした。
しかし、それは口で言うは易く行うは難し。
とくにリーダーの経験や知識が豊富であればあるほど、頼りたくなってしまうのが人間というものです。いつしかリーダーの考えが「正解」となり、上司の指示待ちになってしまうことも少なくありません。
バックオフィス業務に豊富なご経験をお持ちの下白石さんですが「自分の指示待ちの状態になっては、属人化している人が変わっただけであり、それは防がねばならない」と考えたそうです。
そのための取り組みが、毎月・毎月とにかく徹底して振り返りをおこない続けることでした。
毎月1回、月次決算業務に関わるメンバーが一同に介して、前月の業務で良かった点、発生した課題、乗り越えるための次のチャレンジを共有。
最初のころはメンバーから反省点ばかりが上がっていたそうですが、振り返りを繰り返すうちに徐々に良かった点が増えていき、メンバーが自分で考えてストリームのブラッシュアップをおこなえるようになっていきました。
振り返り、と聞くと「なんだ、そんなことか」と思ってしまいそうですが、その当たり前のことを愚直に、凡事徹底してやり続けることが大切だと、下白石さんは語っていらっしゃいました。
ヒトカラメディアさんの導入事例はこちら👇
こぼれ話noteはこちら👇
2. BYARDの今とこれから
当社代表・武内のプレゼンテーションを、イベント当日の投影資料とともにレポートいたします。
2023年10月、BYARDはプロダクトの正式ローンチから1周年を迎えました。
この1年で、たくさんの方にBYARDについての話を聞いていただき、そして、56社のお客様・572のアクティブ・ユーザーの方々にBYARDをお使いいただけるようになりました。
諸悪の根源は「業務の属人化」
高度経済成長が終わり失われた20年を経たこの10数年来、日本では盛んに「業務効率化」や「生産性向上」が叫ばれてきました。
しかし、世界の中で見ても日本の労働時間は依然として長く、「生産性が上がった」「効率化された」「仕事が楽になった」という感じが一向にしないという方のほうが多いのではないでしょうか。
その原因は業務の属人化であると、私たちは考えています。
海外では「諸悪の根源」とまで言われる属人化。しかし、日本においては「自分にしかできない仕事」を職人技的に扱ったり、ビジネスパーソンとしてのアイデンティティだと捉えたりする人も少なくありません。
人材が十分に確保できていた時代は、それで良かったのかもしれません。
しかし、少子高齢化により労働人口がますます減り続けることを前提に考えると、担当者のマンパワーだけに頼った状態はそう遠くない未来に限界をむかえてしまうことは明らかです。
ここに、誰もが課題に感じているがいまだ解決されていない、大きな改善の余地が隠れています。
担当者個人に業務が属人化した状態を解消して、チームとして業務が回せるようにする。つまり、個人の生産性ではなくチームとしての生産性をいかに高められるかがカギとなるのです。
これは「他所より高いお金を払って経験者を集めてくれば良い」というものではありません。
野球やサッカーでいえば「各チームからトッププレイヤーだけを集めたオールスターチームが、必ずしも強いとは限らない」のと同じ。個別最適の寄せ集めになってしまうからです。
そうではなく、普段の業務を回している“仕組み”そのものを今よりもなめらかに回るようにする。すなわち、チーム全体の業務プロセスを最適化することが大切です。
そのために必要なのが業務設計という考え方であり、実際に私たちの日々の業務を設計するためのツールがBYARDなのです。
BYARDがやりたいことは「自動化」ではない
他のSaaS(Software as a Service)ツールと比べたときに、BYARDには変わった特徴があります。
それは、(現時点では)自動化や連携を重視していないということです。
自動化や連携はもちろん便利ですが、その便利さを生かすためには、元となる業務がしっかりと設計できていなければなりません。
住宅でたとえるなら、内外装がいくらすばらしかったとしても、そもそもの設計がしっかりしていなければ倒れてしまうのと同じです。
業務設計では、文字どおり業務の設計図を作ります。BYARDを使って業務をカードとして書き出し、並べ替えて流れを整理することは、まさにこの設計図づくりです。
できあがった設計図を眺めてみると、なんの業務が、どこに存在し、それらがどうつながっているのかが目に見えるようになります。そういう意味では業務の地図を描いていると言い換えることもできます。
もちろん、業務の設計図や地図を作ることは、慣れないうちは簡単ではありません。ストリーム自慢大会で発表者の皆さんが共有してくださったように、使い始めは取っつきづらい部分もあります。
そこを支える役割が、BYARDのカスタマーサクセスです。
ときに優しく、ときにプレッシャーもかけながら、自分たちがいなくてもユーザー様自身で業務設計ができ改善のサイクルを回せるようになるまで、カスタマーサクセスが二人三脚でサポートします。
BYARDの今後のアップデート
この1年でBYARDは116もの機能改善リリースをおこなってきました。
当然、ここがゴールではありません。BYARDは代表の武内が10年来構想してきたものであり、本人いわく「今は全体構想の10%くらい」の状態です。
より多くの方が、より便利に業務設計をしていただけるよう、これからもアップデートを続けていきます。今後のBYARDにぜひご期待ください。
経理のKさんを助けてあげたい
代表の武内には、ある原体験があります。
まだ会社員として働いていた当時。会社の懇親会を終えて忘れ物に気づいた彼は、急いで会社に取りに戻りました。
すると、ほとんど明かりが落ちたオフィスの一角で、懇親会にも参加せず黙々と仕事を続ける経理部のKさんを見つけたのです。
心配して声をかけると、こう返事が返ってきました。
当時はどうしたら根本的にKさんを助けてあげられるのかが分かりませんでした。しかし、今ならBYARDという解決策があります。
あの日なにもしてあげられなかったKさんを救いたい。BYARDには、そんな想いも込められています。
時がたち、あの当時と比べるとITツールははるかに高機能で便利になりました。しかし、いまだ当時と同じ光景が見られる会社は少なくありません。
もしかしたら、皆さんの会社にもKさんはいないでしょうか?
業務を設計し、属人化を解消して、誰もがやりがいを持ち健康で生き生きと働ける。そんな未来を目指して、BYARDはこれからも歩み続けます。
プロダクトの2年目の進化をぜひご期待ください。
会の最後に、ご参加いただいた皆さんと、記念に集合写真を撮影させていただきました!
次のユーザー会でまた皆さまにお目にかかれることを、心より楽しみにしております!