見出し画像

つい、うっかりと…… (敦賀駅ちえなみきと、衝動買いした本)


 墓参りに行った帰途で、北陸新幹線が開通してから特急が全席指定になってしまったことをわかっていながら、いつも通りに、行き当たりばったりで帰りの切符を確保していなかったがために、特急二本、見送る羽目になってしまいましたとさ。
 約二時間半待ち。

 二時間半もどーすんだよー!?

 鉄道好きならローカル線を乗り継いで……ということも出来なくもないのですが、この暑い中、そんな気力もない。
 というわけで、そんな時は本屋です。
 敦賀駅西口出て左側にある建物、複合施設の一角にあります。

 ここは、妙なジャンル分けの仕方をしていて、『この出版社のこの作家のこの本が欲しい』という方には向かないです。
 ぼんやりと、『なんぞ面白そうな本(ネタ)ないかなー?」な人向けの本屋です。
 読むためのテーブル席や椅子が、そこら中にある。
 まさに、時間潰しにぴったりの本屋。
 で、まんまと思うツボに嵌りました。
 ハードカバー二冊購入。
 嵩張るし、重いよう。
 旅先で買うもんじゃないですよね。
 何やってんだか……アホです。ちくそう。
 おかげで、帰りの電車の中は退屈しなかったけれど。
 本って、出会った時に買わないと、二度と出会えなかったりすることもままあったりするんですよね。

 購入したのはこの二冊。

『おだまり、ローズ』は、二十世紀初頭、英国子爵家奥さま付きの侍女をしていた著者の半生を記した手記。
『わたしはこうして執事になった』は、同じ著者の御屋敷勤め仲間だった男性のインタビューを、その人の語り口調のまま当時を振り返っての思い出話をまとめたもの。
 まだ、読んでいる途中ですが、面白いです。
 お屋敷勤めになった経緯や、キャリアの積み方とか、貴族と呼ばれる身分の方々の立ち居振る舞いの仕方や行動、その当時の金銭も含めた価値観。
 その下で働く人たちの仕事の内容や立場、それぞれの人柄や人間関係。
 それぞれの仕事に向かう姿勢やご主人からもらえるクリスマスプレゼントの中身まで。
 それらが――多分、翻訳もお上手なんでしょう――目に見えるような、生き生きとした文体で綴られています。
 歴史的に見れば、かなり碌でもないことをやらかしていた第一次世界大戦前後の英国人ってこんな感じ、というのがよくわかります。
 気難しく、見栄っ張りで、嘘つきで小狡くて、皮肉屋だったり。
 同時にとんでもなく寛容であったり、真面目に義務を果たそうと一生懸命であったりと、それぞれの人となりが手に取るように伝わってきて、感動的ですらあります。
 
 個人的には、久しぶりに読み応えがあったり。
 今時、ラノベや漫画アニメでは、お貴族さまがらみの話が山ほどでているんですが、現実とのギャップを知る参考にもいいかも知れませぬ。
 それにしても、悪戯の仕方が豪快すぎる……。


 蛇足として、敦賀駅情報。
 北陸新幹線開通に伴い、特急の発着ホームが新しい駅舎の方に移動になったのと、新たに東口が新設されました。
 『みどりの窓口』は東口にあります。
 西口は、切符購入は自動販売機のみになりました。
 販売機の台数が少ないので、八月十六日の花火大会の際には、帰りの分は先に購入しておいた方が良いと思われます。
 タクシーを利用する際は、西口へ。
 東口では、タクシーの待機はないそうです。
 タクシーおらんがな、なかなか来ないよー、の時は諦めて、タクシー会社に電話した方が早いです。
 ちょっとだけお高くはなりますが、余程のことがない限り、五分とか十分ほど待てば来てくれる筈。
 出口を間違えてしまった場合、一応、東口と西口を結ぶ連絡バスというのもあるそうですが、頻度はわかりません。
 あと、喫煙家の方は、西口を出て左奥、立体駐車場の建物一階に喫煙所があるので、そこでどーぞ。