蟄蛇坏戸 ―へびかくれてとをふさぐ― (五)
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<五>
温かいお茶が美味しい……。
口をつけて、咲保は感嘆の吐息を溢した。先にいただいた紅茶も美味しかったが、やはり、緑茶の方が気分が落ち着く。湯の温度もいれ方も完璧。使っている茶葉は、宇治の最高級品ではないだろうか。甘みを強く感じるが、仄かな渋みが味を引き締めている。喉越しはすっきりとして、鼻を抜ける馥郁とした香りが消えていく様がとても良い。
「だ、か、ら! どうして、そこで変だとご自分で気付きませんのっ