蟄蛇坏戸 ―へびかくれてとをふさぐ― (二)
<全六話> <一> <二> <三> <四> <五> <六>
<二>
熾盛茉莉花と咲保は、高等女学校の学舎で三年間を共に過ごした同級生だ。とはいえ、その間も、卒業してからの二年間も個人的な交流はほとんどなかったに等しい。稀に、社交場で顔を合わせた時に挨拶をするくらいだ。
彼女たちの女学校は、長らく政府の懸案とされていた、女子教育の規範として設立されてからまだ間もなかった。当時の教育制度は、世間の期待とは裏腹に方針もしかと定まっておらず、手探り状態だった。その上、生徒自身