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マイスペースとは何ぞや(2008年8月『Quick Japan』78号)

マイスペースはアメリカで生まれたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。SNSというのは例えばミクシィやモバゲータウンのような、会員制のコミュニティ・サイトのこと。その中でもマイスペースは現在2億人以上のユーザを抱える世界最大のSNSで(世界中のサイトで6番目にアクセスが多い!)、去年春に正式オープンしたマイスペース日本語版も急成長中だ。

なぜそんなに人気を獲得できたのか? 一番の理由に「音楽との融合」があげられる。マイスペースは最初に「アーティスト」として登録すれば、MP3ファイルをアップロードすることが可能になり、自作曲を簡単に公開することができるのだ。さらに公開された曲は他のユーザもプロフィール欄で公開できる。つまり人気のある曲ほど連鎖的に多くのページで公開されるようになる。この機能が大いに流行し、現在、世界中のミュージシャンがマイスペースで楽曲を発表している。

もちろん最初から皆が利用していたわけではない。初期のマイスペースではファンがミュージシャンのふりをして無断でMP3をアップロードし、それをネタにファン同士で交流するという現象が起きていた。しかしそのうちマイ・ケミカル・ロマンスのようにマイスペースから大ブレイクしたバンドが登場しはじめると、有名ミュージシャンも積極的にプロモーションの場として有効活用するようになり(特に最初はマイスペースで公開すること自体の話題性があった)、結果多くの楽曲が公開されるようになっていった、というわけだ。聞き手にとってもファン同士の交流や、まだ見ぬ才能の探索に使えたりと、送り手と受け手の双方にとって便利な面を持っていたことが拡大の要因となった。

個人的には、ちょっと気になる新人バンドがいると、とりあえずマイスペースで楽曲を探して試聴するような生活スタイルになっている。たまにCD収録とは別バージョンで公開していたりしてお得感もあり、「フレンド」を辿ると趣味に合った別のバンドが芋づる式で見つかることもしばしば。最近マイスペースで知って気になったグループは√thumm、TLKY.、図書館、セクシー・シンセサイザー、fragmentなどなど。ここのところ話題の相対性理論も、別のミュージシャンのページから辿って偶然聴いた。

CD売上不振で音楽産業冬の時代といわれる昨今だけども、CD=音楽ではないし、実は現在ほど音楽で世の中が溢れている時代もないと思う。ラジオやテレビで偶然耳にするのと同じ感覚で、選択肢の一つにマイスペースが入ってるのは、もう当り前だぜ。

<!--以下2020年コメント-->

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2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

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