9.満月に出会う運命の人
前回のお話はこちら↑トーマスとのthe ENDストーリー
サヨナラのあと
友達をつくるだけなのに、なんでこんなに面倒なんだ!
友達ってなんだ!
わしゃ十代か!バカタレ!大馬鹿タレ!
ろくでもない気分を言葉に置き換えて反復させて唱えると何故笑えてくるのだろうか。ぜひみなさんもやってみて欲しい。笑えるから。
そんな図太い神経のアンジーは、あっさりとトーマスに出会う前のアンジーにリセットを完了していた。
語学学校の授業はなんとかついていけるようになったものの、まだまだクラスで一番英語できないやつの座に私はふてぶてしく座っていた。
毎日の復習・予習がなければ授業は全然ついていけない。
そして徐々にクラスメイトもアンジーに対して「一人が好きなのかな?」と気付きはじめたのか、声をかけて来なくなった。
さーどうしよう。
ひとりぼっちでもいいけど、何か繋がりがほしい。
やっぱり友達がほしい。英語を教えてくれる大人の友達がほしい!
そして5月15日、満月の日になった。
手帳を開くと「運命の人に出会う」と書き込まれてた。
「あぁ、今日は運命の人に会うのか。」
それなら学校終わりにセントラル(ロンドン中心街)に出ようかな。 でも面倒だな。変な人には会いたくないしな。
と右往左往してステイ先近くのカフェで迷っていた。
出会い系アプリを使う人、使わない人。(ココ、すっ飛ばしてok)
昔、日本人の仲の良い男友達から教えてもらったマッチングアプリを海外で初めて開いた。
海外でも使えることをそこで知り、プロフィールを英語に直した。
そのマッチングアプリは日本にいたときから結構使っていてそのおかげで付き合いの幅やコミュニティが広がったこともあり、出会い系アプリには全く抵抗を抱いていなかった。
これは自論だが、マッチングアプリや出会い系アプリを危ないからと危険視してるタイプの人は、車があっても乗らないのと一緒だと思っている。
車が便利なのは、現代人なら誰でも知っているはず。気軽にどこでも行けるし、ドライブは楽しいし。
でも時々運が悪ければそりゃ交通事故も起きる。
出会い系アプリは車のようなものだと思ってる。
私の祖母がずっと車は危険だからと言って免許を取らず、車自体にもあんまり乗りたがらなかった。そのおかげで祖母はずっと家にいた。そして滅多に外に出ることもなく、人生をやり遂げた。
そんな祖母と出会い系を危険視する人は似ているなと感じる。
でも仕方ない。だってそもそも出会い系アプリとかは、わりと最近の文化なのだから。まだ定着してないのは仕方ないと思う。新しい物や、不透明なものを怖がるのが人間の本能だし。本能アンテナが発達している証拠だと思う。私の本能は結構バグってるのだと思う。
サングラスアイコンの人
アプリ内に1つ気になるアイコンがあり、適当に「いいね!」を押した。 そのアイコンはモノクロでサングラスをかけていて顔がよくわからなかった。というか人物も小さく写っててなんだかよくわからない。ただアンジーのタモリ好きがこうじてサングラスアイコンはそそるのだ。
いいね!をした人からイイね!返しがきてすぐに相互フォローをし彼からメッセージが来た。
「今セントラル?」
「ウィンブルドン」
「暇?」
即返答でやりとりが来た。「暇?」の返事ができずにいたアンジー。画面をじっと眺める。
するとアプリ上で電話がかかってきた!!
「暇?セントラルきなよ!今、仕事が終わったからこれからセントラルいくんだよ。セントラルきなよ!」
とかなり押しが強い感じ。
「え、今日?」
「うん!今日!」
「今から?」
「うん!今から!」
「でも、今からTubeに乗っても1時間くらいかかる。」
「いいよ!まだ僕も仕事終わって間もなくてセントラル着くのはちょうど1時間後ぐらいだから!」
「え、今日?ほんとに今日?」
「うん!今日!oxford circus stationに集合ね!充電きれそう!またあとでね!」
と電話が切れてしまった。
充電切れそうとか言うてましたから、こちらからメッセージするの悪いなと思って、今起きたことを脳内再生した。
「確かに彼、oxford circus stationって言ったよなぁ?、、、
1時間後でいいって言ったよなぁ?。。」
「え、どうしよ。」
と思っている間に乗らなければならないTUBEの時間が迫る。時間を守りたがりな私は、こんな曖昧な約束でさえ、ババっとカフェを出て駅へと向かっていた。
「まぁいいや、今日は運命の人に出会うからとりあえず一人で過ごすのはよそう。」
と胸に叩き込んだ。
つづく