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10.素敵な笑顔
前回の話はこちら↑出会い系アプリの話
oxford circus stationに到着。
アイコンはサングラスかけてるしモノクロだし人物小さいし、どんな人か全然わからん。
この超人混みの中から見つけられるのか??
向こうに見つけてもらうしかないか。
と戸惑いつつ、人でごった返すoxford circus station前。渋谷駅並み、いや、それ以上の人混みかもしれない。
ホームレスやラリってる人もいっぱいいる。
アプリ越しに連絡が来た。
「渋滞で少し遅れる!ごめんね!」
咄嗟に「焦らず、運転に集中してください!」と送った。
これはすっぽかされるかなーと思いつつ、30分待って来なかったら私もすっぽかそ。
と勝手にこの後の予定を立てていた。
行き交う人混み、年齢はおろか人種も混ざり合う大混雑の都会。観光客もいっぱいで、とんでもない量のお土産袋を持って歩く団体がうじゃうじゃいる。
ただ私は、眺めていた。
音楽も聞かず、立って人の行き交うのを眺めていた。
車やサイレン、人混み、街の音の騒音に埋れているのに、なぜかシーンとした静けさを感じていた。
遠くの方にブルーのシャツを着た背の高い一人の外国人に目が留まった。
わーあの人かっこいいなぁ。
脚長いなぁ。
モデルにして写真撮ったら楽しそうだなぁ。
姿勢も綺麗だし、モデルかな?
にしてもかっこいいな。ロンドンの外見偏差値高いよな。
と、アンジーの前職カメラマンフィルターが発動した。
街中で被写体にしたくなるような人をどうしても目で追ってしまう。
あの人はこの角度で、こんなイメージで撮ったらカッコいいよな。
なんて脳内イメージをするのだ。
しばらくブルーのシャツを着たイケメンを遠くからながめていた。(私の視力は両目1.5)
すると、そのイケメンがこちらに近づいてくる。
いや、まさか。
「Hi. are you Angelina? 」
そのまさかだった。
「待たせてごめんね。会えてよかった!よし、チャイナタウンに行こう!」
とニコニコで話してくれる。
とんでもないイケメンが目の前にいる。
脚が長すぎて、見たことない位置に腰骨がある。
緊張を隠すために話した。
彼は仕事終わりでお腹ペコペコだからチャイナタウンでご飯が食べたいと言って、おかわり自由のチャイニーズビュッフェレストランに行きたいのだと。
安いし、好きな食べ物を好きなだけ食べれる。
私は少食だから外食がすごく嫌いなんだけど、ビュッフェなら自分の食べれる量で済むから凄く有り難った。
久しぶりのアジア飯にもテンションが上がった。
お互い好きな食べ物を食べながら、自己紹介が始まった。
マリウスと言った。
出身地がここでうまく聞き取れず、「ムロマニアン」と早口で言う。
ムロマニアン?ムはI'm だからロマニアン?
ローマ?イタリア人?イタリア人かな?それかまた別の土地名??
と思いつつ、すでに2回聞き返してしまったので、その場はわかったふりして流した。
マリウスはアジア人、しかも稀な日本人と喋ってることを喜んでくれてた。
「ロンドンに来てアジア人はよく見かけるけど、話したことがない。すごい!今僕は日本人と話してる!」
とめちゃくちゃ笑顔で話してくれた。
そんなに嬉しいのかな?
そしてマリウスはすごく美味しそうにご飯を食べてた。「チャイニーズのチキンがすごい美味しいんだよぉ!(酢豚みたいな味付)」
とニコニコの笑顔でたくさん食べていた。
そしておかわりもたくさんした。
デッカイ犬みたいで可愛かった。
お腹いっぱい食べたあと、トラファルガー広場まで散歩した。あぁ、こないだはあの塔からここを眺めてたんだな。
と胸に秘めつつも、ナショナルポートレートギャラリーの前の石段に腰掛けて、たくさん話した。
いつロンドン来たのかとか、どれくらいまでいるのとか。とか。
そして彼はよく笑った。
笑顔になると、ちょっとだけユアン・マクレガーに似ている。
とりあえず、イケメンだ。
夜もふけて、私は節約のためバスで帰る。
マリウスはバス停まで見送ってくれた。
バスに乗り際、「きょうはありがとう」と言って優しくハグしてくれた。
これは挨拶のハグだから意味は深くない。
でもいい匂いがした。
イケメンと出会ったが、運命の人だ!というような手応えは全くなく、良い人でよかったぁ。
と安堵に包まれてその日はベッドに向かった。
プロポーズまでとんであと526日