141、神様に護れて過ごしてきた。
学校も、卒業してしまったので丸一日自由時間があった。
荷物も予定通りまとめれたので、焦ることもない。
この日は、近所を散歩することにした。
近所の一番大きな教会に来た。
テムズ川に架かる橋のすぐ脇にある教会。観光地というような華やかなスター的存在な教会ではないけど、
この町の人たちにとって憩いの場であり、お祈りの場。
私が渡英してすぐ、最初のイベントでイースターがあった。
日本にはまだ馴染みのないイベントだし、イエス様の復活祭なんて面白そうだし、なによりイギリス・アイルランド 周辺でのイースター名物ホットクロスバンズ(レーズンや香辛料がたくさん入ったパン)が大好きなので、本場で食べられることに胸をワクワクさせていた。
英語もわからない・読めない時。
教会のウェブサイトをみると、イースターのイベントに関する記載があった。
でもサイトのデザインが古くさすぎて、いつ更新されたものなのかわからない。
イベントには、イースター当日明朝4時から復活祭のお祝いをする。と書いてあった。
朝4時!?
私は早起きなので、全然OKなのだけどまだ朝は寒い。行ってみたところでもしイベントしてなかったら?
クリスチャン以外立ち入りお断りだったら?
と疑念が湧いたけど、行かないよりは行って確かめよう。
と決めて、教会に来た。
すると本当に白装束の人たちが火の灯ったローソクを持ち、テムズ川に向かって歌っていた。
私はそれを少し遠くから見ていた。
ほとんどの方が参加者で、見物人はわたしぐらいだった・・・
歌いながら、一列になって教会に入っていく。
「もはや、ここまでか!」
と諦めたとき、美しい白髪ヘアのお婆さんに「あなたもおいで。中に入りなさい」
と言われた。
「私は、クリスチャンじゃないですが。。。それでもいいんですか?」
と言ったら、
「もちろんよ。」
といって、手をとって真っ暗な教会に入れてもらった。そこからは、隣にいさせてもらい作法を教えてもらった。
中は撮影禁止で、個人が持つローソクの灯りだけが頼りだった。
とても美しく幻想的な時間が流れた。
復活を祝うお話を聞いて、みんなでクラッカーを鳴らし拍手をしたときにパッと教会の照明が点いた。
お祝いが終わって、そのあとは多目的ホールにて手作りのホットクロスバンズと紅茶をいただいた。(朝5時半!!!)イギリス人は早朝でもお構いなしにミルクたっぷりの紅茶が飲めるのか。ということに驚いた。
アフタヌーン関係ないんやな。とも思った。
わたしを導いてくれたおばあさんは、ローズマリーさんという名前で、とても親身になって話を聞いてくれた。困ったことがあったら連絡してね。と連絡先ももらったけど、けっきょく連絡できずにあっというまに6ヶ月が経過してしまった。
この教会にはそんなイースターの思い出をはじめ、週末のマーケットの思い出、ボランティアや集会、、いろいろあった。
個人的には土地神様でもあると思っていたこの教会。
イエス様にむかって
「素敵な人とたくさん出会わせてくれてありがとうございました。あなたの愛情がこの土地を守っていることに感謝しています。その中で6ヶ月私を仲間にいれてくれ、そして見守りつづけてくれてありがとうございました。」
とたくさんお礼の挨拶をした。
教会を掃除していたおじさんが、ニコニコしてこちらをみていた。
わたしも笑顔で返した。
すこし会話して、教会を後にした。そのあとは歩けるところまで歩いてたり、途中バスにのって思いの外めちゃくちゃ遠くまで来てしまった。いろんな思い出が転がっている。来週になれば、わたしはここにいない。
帰り道に見た夕日が美しかった。
道ゆく人みんな立ち止まり、写真を撮っていた。
自然の力は偉大だ。誰もが、素直に美しいと見てわかる。
どんなに芸術に普段興味がない人でも、写真を撮る行為を生ませる。
そして誰かに共有する。
もちろん、私も写真におさめた。
美しい世界だ。ただただ、純粋に美しい。
陽が沈むまで、夕日を眺めた。
プロポーズまであと356日