「破局」を読んだ
トレスの展示を見に行った帰り、文喫に立ち寄った。本屋さんへ行くのも、コロナ禍になってからグッと頻度が減ってしまった。わざわざ本屋へ行っていた日々が懐かしい。
和樂のコンテンツに触れるようになって、ずっと興味はあったものの手つかずだった「源氏物語」熱がふつふつと湧いてきたこともあり、源氏物語特集を組んでいた文藝夏号を購入。
で、意識せずなんとなく巻頭から読み始めたのが、遠野遥さんの「破局」だった。芥川賞候補作だと、読み終えてから知った。
恋愛中のなまなましい日々が、男性側の目線で描かれていて、嫉妬や疑念に苛まれて狂っていく女の心情というかメンヘラになる具合って、実は男性側にはそんなに伝わっていないのかしら、とホンワカした感想。アメフトという、私にはまったく関係の無いスポーツのシーンから始まって、興味も関連性も無いのにいつの間にか引き込まれていた。練習後に、先輩の家に肉を食べに行くくだり、本人は気づかないうちに、先輩との関係も変わり、恋人も変わり、最後は何故か棄てられた女みたいな情景の一部として描かれるマッチョな男。男という生き物はニガテですが、彼には少しだけ親近感を得た。灯も、麻衣子も、少しあざとくて、女ってこんなに知略家か?と、ドギマギもした。恋をしている情景を、極めて客観的であろうとする男性の主観から描かれた破局へのストーリーは、以外と、悲劇のヒロイン的な空気感が漂っていて、恋を消費することは、男も女も関係なく似たような感情というか、読後感を与えるものなのかなと思った。
さぁ、次はいよいよ、角田光代さんの源氏物語を読みましょうかね。
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